飲食店の広告戦略(4)―リピーター獲得のための広告手段―

 前回のエントリーでは飲食情報サイトについてお話ししましたが、ここ数日なにやら「食べログ」周りで騒がしいかったようです。
 
 どのような騒動だったかを簡潔に述べると、「食べログの評価は5.0点満点であるが、年会費を払わなければ評価点に(3.6~3.8点の)上限が設けられている」と言う話でした。
 
 「食べログ」自身は明確に否定していますしもそうでなくてもコンテンツ商売ですので「課金ユーザーを優遇する」と言うのは当たり前のことですが、やはり抱えている顧客数や問題なしとは言い切れない商売体系から、色々と反発意見も出ているようです。
 
 公取の方でも実態調査を始めたようですから、続報によっては飲食情報サイトの在り方自体が変わってくるかもしれません。
 
 さて、話を変えて今回はリピーターを獲得するための広告手段のお話です。
 
 飲食店に限らず商売の世界では、新規顧客の獲得もさることながらリピーターを増やし続けることも重要です。特に飲食店では常連客が一定数いるかいないかで安定度が全く違います。
 
 
 
1.リピーター獲得のための広告手段
 
 
 リピーター獲得の為の最善の手段は「店の強み」があることです。
 
 強みとは例えば「料理の独創性」や「抜群の接客力」と言ったような能力的なものだけでなく、「立地」や「安さ」と言ったものでも構いません。
 
 大切なのは自店舗の強みを的確に把握することです。強みを把握したうえで、伸ばせるものであれば伸ばす、また、シナジー作用がある別の強みを加えることが更なる集客に繋がります。
 
 「店の強みを伸ばす」と言う前提のもとで、そこを補助していくものがリピーター獲得のための広告手段となります。
 
 リピーター獲得のための広告は新規顧客の獲得の広告と比べて費用も時間も大きくかかりません。
 
 逆に言うと「金をかけても投資に見合った伸びを見せてくれない可能性が高い」ところでもあります。リピーター獲得のための広告に金と時間をかけすぎるくらいかけるなら、店の強みに投資した方が余程マシです。
 
 と言う訳で、「広告を打ち出したから明日から常連客がたくさん来る!」と言うこともなく、あくまでも補完的な意味で活用してください。
 
 
 
 
2.リピーター獲得のための広告
 
 
① スタンプカードや次回使えるクーポン券の発行
 
 スタンプカードや次回使えるクーポン券の発行は再来店の動機付けになります。
 
 また、ポイントの溜まり具合やクーポン券の使用頻度によってリピート回数の調査も可能となります。顧客の動向調査と言う意味でも使わない手はないでしょう
 
 スタンプカードおよびクーポン券は値段が安めの大衆店や立地条件がいい店、回転率の高い店で有効な手段となります。
 
 高級店にはあまり向く手段ではありませんが、顧客の動向調査の名目もありますので、発行して損をすることは滅多にないと思います。
 
 
② メールマガジン・クーポン券付きDMの発行
 
 メールマガジンやダイレクトメールに対するマイナスイメージはないわけではありません。
 半ば強制的にメールボックスに突っ込まれるわけですから、鬱陶しさもあるでしょう。「ショッピングサイトの会員登録をしたら毎日メールマガジンが来てうんざりした」なんて経験もあるのではないかと思います。
 
 メールマガジンやダイレクトメールは誰彼構わず送っていいものではありません。大手ショッピングサイト等がやりがちなメールマガジン戦略ははっきり言って間違っています。
 
 メールマガジンやダイレクトメールを送る意図は、「好印象を持っているお客様に対して重ねてプラスの評価を獲得する」ことです。
 再来店の機会を伺っているお客様に対して「今週のおすすめ料理」や「割引メニュー」等の情報をDM等で送付すれば、再び足を運んでくれる確率は高くなるでしょう。
 
 つまり、送る対象は「アンケート等で高評価をしてくれたお客様」や「敢えてメールマガジンを送ることに許可してくれているお客様」に限られると言えます。
 
 
 方法を紹介しておいてなんですが、メールマガジンやDMの発行自体に結構な時間的コストがかかるので、個人店ではあえて頑張る必要もないかなとも思います。
 
 
 
③ ブログやSNSの更新
 
 ブログやSNSの更新もリピーター獲得の手段になります。
 
 メールマガジンの発行に近い理由にもなりますが、わざわざSNSをフォローしてくれたりブログを見たりしてくれている人は店に対して好印象を抱いているお客様です。こまめに更新することで店舗情報の発信や店や店長自体のコンテンツ化にも繋がります。
 
 twitterやInstagramであれば、写真と一言メッセージを投稿し続けるだけでも充分なコンテンツとなりますので、メールマガジンを頑張って発行し続けるよりは費用対効果が高いのではないでしょうか。
 ただし、できるだけ定期更新しながら、こまめに続けることが大切です。
 
 ブログやSNSは特にコンセプト系飲食店では必須、高級店でも有効なリピーター獲得手段となります。地域の飲食店や繁華街の飲食店でもコンテンツの差別化にはなりますので、無理のない程度であればやってもいいのではないかと思います。
 
 
 
④ 顧客訪問・地域の行事参加
 
 地域の飲食店の場合、積極的に地域の行事にかかわっていくことが大切です。
 特に商店街のイベントや町ぐるみ清掃なんかは積極的に顔を出していった方がいいと思います。
 
 ただし、地域住民に対する必要以上に安売りやサービスはしない方がいいです。
 常連割引や地域住民への贔屓は一度やってしまうと歯止めが効かなくなったり、不公平感が生まれやすくなります。
 
 あくまでイベント参加や無理のない程度の役職就任にとどめて、自腹を切るような負担や提供はしない方が無難です。
 
 
 
3.まとめ
 
 
 最初に述べたとおり、リピーター獲得のための広告はあくまで補助的なものです。
 
 つまるところ店の強みを持つことがリピーター獲得には一番いいと言う訳ですが、それでも広告の手段はありますし新規顧客獲得と比べればそれほどのコストもかからないものが多いので、余裕があればやっておく程度でといいと思います。
 
 広告は基本的にお金がかかります。しかし広告をすれば1000円が3000円に、100マン円が300万円になる可能性があります。
 
 逆に広告を打ち出さなければ、誰からも認知されずひっそりと閉店してしまう確率も上がるわけです。特に飲食店は常に需要と競争のある産業ですから、広告のウェイトはより高くなっています。
 
 商売繁盛の為にはまず自店舗の分析から入り、的確な広告を打ち出していく事こそが重要となります。