ボードゲームカフェ開業の手引き(1)ー開業するにはどうすればいいの?ー

 最近ではアナログゲームが一般層にも浸透し始め、それに伴いボードゲームに携わる仕事をしてみたいと言う方も増えてまいりました。
 
 ボードゲームに携わる仕事をするなら、作る側に回るか遊ぶ場所を提供する側になるかと言った選択肢がありますが、作る側の話については他のブログにその役目を譲るとして、このブログでは行政書士のブログらしく遊ぶ場所を提供する側、つまり、ボードゲームカフェを開業するのに必要なことについてお話ししたいと思います。

1.ボードゲームカフェ開業に際して必要なものは?

 まずボードゲームカフェですが、カフェと言うだけあって開業モデルは飲食店開業に近いものとなっています。
 ただし収益モデルは飲食店と違い料理だけでなくスペース代も重要な収益の柱となりますので、そのことを念頭に置いておくといいかもしれません。
 
 さてさて、具体的な開業の基礎の基礎、事業開始の前にやることですが、この辺りは事業に関わらずだいたい決まっています。
 掻い摘んで列記すると、下記のとおりとなります。 
(1) 通帳の作成と自己資金の貯蓄
(2) 業界経験の積み上げと勉強会及びセミナーへの参加
(3) 資金調達計画及び事業計画書の作成
(4) スキルの取得及び物品の用意

 それでは実際に開業するにあたってに何をしておけばいいのか、詳しくお話ししたいと思います。

(1) 通帳の作成と自己資金の貯蓄
 通帳の作成と言ってももちろん銀行に行って口座を開いてはいおしまいと言う訳ではありません、少なくとも1年から2年以上はかけて、お金の出入りの記録を作ると言うことです。
 
 通帳の記録は融資のみならず金銭が絡む場面では何においても重要視されます。そして取引記録や貯蓄の記録が何よりも武器になる場合があります。
 
 例えば事業開業の為に一月10万円ずつ2年間定期的に貯蓄している記録がある場合、融資申込みの直前にいきなり240万円が振り込まれているよりも余程心証が良く有利となるでしょう。
 
 どんな事業を興すにも通帳の作成は大事です。”毎月定期的に貯蓄をしている記録を作る””公共料金や税金の支払いを怠っていない証拠を作る””親戚や友人、街金からお金を借りていないことを証明する”と言う事を意識して、通帳を作成していきましょう。
 
 
(2) 業界経験の積み上げと勉強会及びセミナーへの参加
 実際にアルバイト等でボードゲームカフェで働く方法がベストではないかと思います。
 
 ただし実際に求人があるかどうかは別ですので都合よくボードゲームカフェでアルバイトを募集しているとは限りません。
 ボードゲームカフェの求人が出るまで待たなくても、類似の店舗で経験を積めば充分に生かせるのではないかと思います。
 
 通常の飲食店とはビジネスモデルが違う点も多いので、経営と言う点においては通常の飲食店での経験は活かしにくいかもしれません。ただし接客等は充分に参考になりますので、通常の飲食店で経験を積んでもいいのではないでしょうか。
 
 勉強会やセミナーに関して言えば、「ボードゲームカフェ開業セミナー」と言うピンポイントのものは少ないですが、開業セミナーや経営セミナーは世の中に溢れていますので、それらの中から何かしらに参加してみてもいいと思います。
 
 
(3) 資金調達計画及び事業計画書の作成
 融資を受ける予定がなくても事業計画書は必要です。
 
 事業計画書は事業の目標や計画、現状を客観的に判断するための重要な書類です。
 よく事業計画書は地図に喩えられますが、事業計画書を作成することで事業の立ち位置や目標の分析、自分や会社に何が不足していて何が足りているかを知ることができる、自分だけの宝の地図となります。
 なにより事業計画書を作成することは、事業に対する自分のモチベーションアップにもつながります。
 
 資金調達及び事業計画書については以前のエントリーにまとめているので、参考にしてみてください。
(4) スキルの取得及び物品の用意
 ゲーム類は自店舗で用意しておく必要があります。また、扱うものによっては保険も必要となるでしょう。特に絶版ゲームはもう手に入らない可能性も高いです。
 残念ながら盗難も多く、対策はしておくべきではないかと思います。
 
 基本的にボードゲームカフェを開きたいと言うからにはやはり各種ボードゲームに精通していると思うので余計なお世話だとは思いますが、自店舗にあるゲームのルールは最低限のところは把握しておきたいところです。
 場合によってはお客さん同士がルールで揉めている場面で、店長自身がジャッジとなって裁定する可能性もありえます。
 
 ルールと言えば、店内のルールや損害賠償規定はある程度明確にしておいた方がいいです。
 例えばゲームの破損等に対する損害賠償は明文化して店内の見えるところに掲示しておくだけで、いざ事が起こった後の民事的なアレコレがスムーズに行くようになります。
 他にも遊行色が強いボードゲームカフェでは、ナンパや迷惑行為も発生しやすくなります。それらに対する対処基準も明文化しておいた方がいいと思います。
 
 こう言った予防法務は行政書士の得意とするところではあるので、是非当事務所までご相談ください。

2.ボードゲームカフェの立地はどこがいいの?

 都市であれば大型駅近くがベストだと思いますが、宣伝次第でなんとかなるところではあります。
 他の飲食店や服飾店とは違い、ビルテナントの下層階である必要はありません。中層階や上層階でも集客にはそれ程影響はないと思います。
 
 自宅を改装して開業できるかと問われれば、ノーとも言えませんが事業としての難度は跳ね上がります。
 カフェとは言うものの飲食品の提供ではなくスペース及び体験の提供が主目的であり、近隣住民をターゲットにしているわけではないので、近隣住民が通いやすいと言う恩恵は受けられません。
 
 また、「若者が集まりやすい」「深夜まで営業する可能性あり」「何も知らない人にとっては得体の知れないことをやっている」と言った要素からご近所トラブルが発生する可能性も高く、住宅街に住んでいる場合は特に自宅での開業はお勧めはできないものとなっています。
 
 やはり都市部であれば大型駅とは言わないまでも最低限繁華街のある駅近、田舎であれば幹線道路沿いの駐車スペースが取れる土地で開業する必要があると思います。

3.ボードゲームカフェ開業に必要な資格や許可は?

 カフェだけあって喫茶店営業か飲食店営業の許可が必要であり、必然的に許可取得が可能な厨房設備が必要となります。
 また、あわせて飲食店と言う形態に伴い食品衛生責任者及び防火管理者の資格者が必要です(どちらも取得自体は簡単であり時間もそれ程かかりませんが、手間は増えます)。それ以外の資格…例えばボードゲームインストラクターやボードゲームコンシェルジュと言った資格は必要ありません。
 
 カフェではなく飲食物を提供しないイベントスペースとして開業すれば、飲食店営業許可を取る必要はなくなります。
 イベントスペースでも未開封の菓子類、缶ジュース及びペットボトル等についてはそのまま提供することができますので、コスト面から考えれば初期費用及びランニングコストはかなり抑えられることになります。
 
 ただしこれだけでは収益モデルとしてはあまりにも寂しいですし、未開封のものであっても酒類は出すことができません。
 
 また、2Lペットボトルを店員がコップに注いで給仕するだけでもほぼ確実に飲食店営業許可が必要になりますので、やはり飲食店営業許可を取得して軽食程度は出した方がいいのではないでしょうか。
 
 必要な資格や許可については、風営法関連も含めて次回以降で詳しく説明いたします。

4.まとめ

 ボードゲームカフェは通常のカフェとは違い、スペース代も収益の柱となります。
 
 また、食事やドリンクの収益率を高めに設定してもさほど集客には影響ないので、ドリンクだけでなくある程度の軽食は出せるようになっておくといいと思います。
 
 ただし、開業時点での許可関係について言えば、飲食は副次的な要素にもかかわらず通常の飲食店と同様の許可や設備が必要となりますので、資金面やその他の条件は思っている以上にハードルが高いかもしれません。
 
 
 さて、次回はボードゲームカフェ開業に関する飲食店営業許可や風営法等についてお話ししたいと思います。
 
 法的なことや許認可関係ですので聞いててあまり面白い話ではないとも思います。
 そう言うの面倒くさいなーと思う場合は、我々行政書士に相談してお任せして貰えれば一番手っ取り早いかもしれません。
 
 
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