道路占用料免除!飲食店向け緊急特例措置について

 ※当措置は令和2年11月30日(月曜日)までとなっております。必要である場合はお早めにご申請ください。

 新型コロナ感染症の影響で、お弁当の店先販売が増えています。街を歩いていても結構な頻度で「テイクアウトあります」の看板を見かけます。
 
 しかしテイクアウトのお弁当を売る時、歩道にはみ出していませんか?
 実はそれ、道路占用の許可が必要なんです。そして道路占用の許可はなかなか貰えないし、たとえ貰えたとしてもお金がかかります。
 
 お弁当の店先販売が増えている現状で、行政に許可を取らない形の道路占用がかなり増えてきました。
 国としても行政としても新型コロナ感染症対策の為にテイクアウト等は推進していきたいですが、無許可の道路占用が増えている状況は痛し痒し。
 そのため、国としてある緩和策を打ってきました。
 
 

1.国交省による道路占用許可基準の緩和

 国交省発表のリーフレットでは下記のとおり標榜しています。
 
 「国土交通省では、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等の皆様を支援するための緊急措置として、地方公共団体と地域住民・団体等が一体となって取り組む沿道飲食店等の路上利用の占用許可基準を緩和することとしました。また、地方公共団体に対しても同様に取り組んでいただけるよう要請しています。」
 
 
 それでは、具体的にどのような緩和がなされるかなされるかと言うと、次の2点となります。
 
(1)道路占用の許可に当たり、いわゆる無余地性の基準等について弾力的な判断を行うことにより、道路管理者として当該路上利用を支援
 
 「何言ってるのかよくわからん」と言う意見が聞こえてきそうですが、ざっくり言えば「道路は本来通行の為のものだからあんまり道路占用の許可は出したくないのはやまやまだけど、飲食店や商店がテイクアウトやオープンテラス等をするために道路占用許可を申請してきたら、行政各位はできるだけ柔軟に対応してね」と言う、国から各地方公共団体への通知が出ています。
 
 道路占用の許可って中々貰いにくいんですよ。特に「飲食店が」「半恒久的に」「通行の妨げになる可能性がある部分について道路使用申請する」となるとほぼほぼ許可は貰えません。
 それをこの(国交省から地方自治体向けの)通知では、「柔軟に判断せよ」と随分と譲歩した内容になっています。
 
 
(2)条件が合致した場合、占用料を免除する
 
 きました、占用料の全額免除です。
 道路占用には結構なお金がかかります。特に東京の繁華街ともなると半日の占用でもかなりの額がかかってきます。(ものによっては一回につき1万円とかそんな額では利かないのではないでしょうか)それを全額免除しようと言うのだからなかなかのものです。
 
 

2.国交省からの条件

 それでは直ちにテイクアウトやオープンテラスを道路に広げる許可を申請できるかと言えば、そう言う訳にはいきません。
 占用料の免除や許可要件の緩和について、いくつか国交省から条件が出されています。
 
 
(1)新型コロナウイルス感染症対策のための暫定的な営業であること
 
 半恒久的な措置ではなく、期間を設けた措置になります。リーフレットには「令和2年11月30日まで」とされていますので、どんなに長くてもその期間までと言うことになるでしょう。(最長で許可が貰えれば、道路占用にしてはかなりの長期間と言えます。)
 
 
(2)「3密」の回避や「新しい生活様式」の定着に対応すること
 
 ふわっとした表現ですが、例えば「オープンテラスを設置するならテーブル間の間隔は2m以上開ける等の施策を講じなさい。」と言った対応をする必要があります。
 
 
(3)テイクアウト、テラス営業等のための仮設施設の設置であること
 
 常設の造作ではなく簡易な施設である必要があります。半日~一日で撤去できる設備が望ましいのではないかと思います。
 
 
(4)施設付近の清掃等にご協力いただけること
 
 リーフレットには2か所「清掃せよ」と書いてありますし国交省から地方自治体に向けた通知にも「清掃させて」と念を押されてます。清掃はしっかりと。
 
 
(5)地方公共団体又は関係団体による一括占用であること
 
 占用申請をするならば、市町村や市町村と連携関係にある商店街が一括で申請することになっています。個人での申請は認めていません。
 
(6)道路の構造又は交通に著しい支障を及ぼさない場所であること
 
 歩道上においては、交通量が多い場所は3.5m以上、その他の場所は2m以上の歩行空間の確保が必要と明示されています。
 
 
 特に(5)は個人の店舗単独では申請できず、市町村そのものが音頭を取る場合や、市町村と連携している商店街が取りまとめて一括で申請すると言う形になっています。
 オープンテラスを設置するために個人の店舗ができることとしては、地元商店街や市町村に働きかけ、自分が船頭になると言ったことでしょうか。
 
 また、占用期間も最長で令和2年11月30日までの時限措置となっています。

3.まとめ

 店舗外のスペースにテイクアウト販売所やオープンテラスを設けられるのは場所の有効利用にもなり、三密を避けることができます。
 
 今回のケースでは、残念ながら個人店舗が主体となって個人店舗だけで完結できると言うことはなく、市町村や地元商店街等に働きかける必要があります。
 しかし、道路占用を飲食店等に積極的に開放するのは結構画期的なことですので、オープンテラス等を計画しているのであれば、地元の商店街に提案してみてはいかがでしょうか。
 
 
 さてさて、ここからは蛇足になりますが、お店の敷地からはみ出て歩道にテイクアウトのお弁当コーナーを並べることや看板を設置することは、本来道路占用許可が必要なものであります。
 
 しかし、道路占用許可を得た場合には使用料を支払い続けることになります。そしてなにより、飲食店が恒久的に道路に看板を出し続けると言う占用許可が貰えるケースは稀ですので、道路に店の造作をはみ出している店舗のほとんどは道路占用許可を取ってないのが現状です。
 大半の店舗が許可をとらずなんとなくお目こぼしして貰っているだけと言うことになります。
 
 正直我々行政書士としては「道路にはみ出さないように看板出してね」と言うしかないのですが、特に繁華街においては指導されることなど滅多にないと言うのも事実ですので、この話は聞かなかったことにして自己責任でお願いします。