誰が貰えない? 東京都の協力金

 前回のエントリーで東京都の休業要請協力金の話をしました。
 
 その際に「このケースだったら貰えますよ!」と言う話をしていきましたが、逆に「このケースだと貰えないよ!」と言う話も勿論あるわけでして、その辺りも気になるところではあるのではないかと思います。(他の東京都の休業要請協力金について取り扱っているサイトを見ても、ほとんどが「このケースだったら貰えますよ!」と言う内容が多いわけですし。)
 
 と言う訳で、今回のエントリーでは謂わば各論的に、「貰えないケース」の話を中心にしていきたいと思います。

1.対象事業者に当てはまらず貰えないケース

 東京都休業要請協力金は、東京都が休業を要請している施設(及び飲食店)を対象としています。逆に言えばそれ以外の、東京都が休業を要請していない施設及び店舗については残念ながら自主休業をしていても受給資格がありません。
 
 問題となるのが「社会生活を維持するうえで必要な施設については休業要請をしていない」と言う点です。
 
 つまり、生活必需品を売る店や理髪店等は対象外であり、休業要請が出ていない代わりに東京都休業協力金を貰うことができないことになっていますが、休業要請をされている施設とされていない施設が明確な基準を持って区分されているわけではないため、「ここは休業要請してるけどここはしてないよ」なんてケースがざらにあります。
 
 例として挙げると、「飲食店」が例外的に休業協力金の対象として認められているにもかかわらず、「食品店」「酒屋」は対象外となっているため、自主休業していても東京都休業要請協力金は貰うことができません。
 
 また、「ネイルサロン」や「エステサロン」は休業要請の対象となっていますが、「理髪店」及び「美容院」は営業してよいことになっており、東京都休業要請協力金は貰うことができません。
 
 なんだかあるなしクイズみたいになってきましたが「似たような業種」でも都によって生活に必須であるかどうかが分けられており、細かく見ていかなければ自分の業種が休業協力金を貰えるのか貰えないのか分からない!と言った感じになってしまっています。
 
 
 他にも趣味嗜好を提供する店舗が休業要請の対象となっているのかと思いきや、「たばこ屋」及び「ブライダルショップ」は休業要請の対象外だったり、「古本屋」は休業要請の対象で「本屋」は対象外です。どういうことなの本当に。
 
 
 主だった休業要請の対象外業種……つまり、協力金が貰えない業種を個別にみていくと、
 
医療関係
鍼灸院」「マッサージ店」「接骨院」「柔道整復院」
食品関係
「食品店」「酒屋」
美容関係
「理髪店」「美容院」
衣料品関係
「衣料品店」「靴屋」
その他
「本屋」「雑貨屋(100円ショップ)」「コンビニ」「保険代理店」「士業」「不動産屋」
「花屋」「ブライダルショップ」「タバコ屋」「家具店」
 
 と言った感じになっています。
 
 意外なところが休業要請の対象となっていたり逆に対象になってなかったりするので、本当に細かく調べていかないと分からないです。はい。

2.期間中少しでも店を開けてしまい貰えないケース

 休業要請期間は令和2年4月16日から5月6日までです。
 この期間中に1日でも店を開けてしまった場合は、残念ながら協力金は一切受給できません。
 
 後日トップの決定で期間要件が緩まる可能性もあると言えばありますが、少なくとも今日時点での申請の段階では1日でも店舗を開けてしまっていることが明確な場合は、役所としても受け付けることはできませんし、我々にもどうしようもありません。お役所はそう言うところが厳しいです。
 
 ただし、店を開けて営業していても受給できる例外も中にはあります。
 
 例えば飲食店について言うと休業要請期間である夜8時以降から朝5時までの間店舗を閉めていれば、日中に営業していても協力金が受給できます。
 
 また、ライブハウス等では、店内に客を入れない形で「オンライン演奏会」をしていても、客を一切入れず演者たちの距離を徹底していれば、協力金の支給対象となります。
 
 「店を開けない」とは「営業活動を一切しない」と言うことではなく、事業所を閉鎖しソーシャルディスタンスを保った状態を維持することを言います。
 なので、普段は教室で行っている授業を今回に限って「オンライン講座」にして実施している学習教室でも、期間中全日教室を閉鎖している限りにおいては協力金の支給対象となります。

3.休業していても事業所が存在せず貰えないケース

 東京都の協力金は性質上「東京都が施設に対して協力を要請し、施設の経営者に対して見返りとして協力金を支払う」と言う形になっています。
 
 つまり全面休業要請に協力している商業施設のテナントに入居している店舗であれば、休業要請対象外の「衣料品店」であっても協力金支給の対象となり得る可能性もあります。
 
 しかし逆に対応業種であっても施設を持たない場合……例えば建前上事業所を持たない「無店舗型デリバリーヘルス」の場合は、「ヘルス業」自体が休業要請業であったとしても施設がないため協力金支給の対象とはなりません。
 
 また、施設に協力している事業者についても同様です。
 
 あくまで「施設に対して協力を要請し、施設の経営者に対して見返りとして協力金を支払う」と言う形であるため、施設に協力している事業者が今回の影響により全面休業することになってしまっても、協力金支給の対象とはなりません。
 
 例えば施設と契約しているフリーランスの演奏家が全面休業していても、施設を経営しているわけではないため協力金の支給対象とならないと言うわけです。

4.その他、常識的に考えて当たり前のように貰えないケース

 この項目は当たり前のように貰えないケースですので、単純に読み物としてお読みください。
 
 当たり前ですが、大企業は対象に入っていません。
 そもそも大企業からしてみれば100万円貰ったところで焼け石に小さじ一杯の水と言った趣も感じます。
 余談ですが今回のケースで言う大企業とは、中小企業基本法で設定されている大企業を指すとのことです。
 
 当たり前ですが、東京都に事業所が無い場合は貰えません。
 例えば会社の本店事務所が東京にあるヨガ教室であっても、教室自体が埼玉や他県にある場合は他県の支援を受けなさい、となっています。
 
 当たり前ですが、休業要請期間中にオープンした店舗の場合は支給対象となりません。
 緊急事態宣言発令前である令和2年4月10日以前にオープンしている必要があります。要請期間である4月16日ではない点に注意が必要です。
 
 当たり前ですが、支給対象者であっても申請をしないと貰えません。
 申請はオンラインでも郵送でも都税事務所・支所庁舎内に設置した専用ボックスへの投函でも行えるので、自分に合った方法でやりましょう。
 申請は専門家への確認が推奨されておりますので、申請の際には是非ご相談ください。

5.まとめ

 休業期間及び事業所の場所については分かりやすいですが、事業内容については細かく分けられていたり分け方に一貫性が無かったりしますので、業種ごとに調査しないと分からないところがあります。
 いずれにせよ協力金支給の申請期間は6月15日までであり、予算が尽きれば早期に終了する可能性もあるため、できるだけ早めに申請した方がいいと思います。
 
 東京都休業協力金の他にも各自治体、業種ごとに様々な支援が用意されております。
 調査や申請のお手伝いをいたしますので、まずは相談から、お気軽にお申し付けください。