個人事業主必見!家賃支援給付金の件

 かねてからアナウンスされていた、本当は6月末に詳細が発表される予定だった家賃支援給付金の概要が経産省から発表されました。
 
 流石に家賃全額補助と言う訳にはいきませんが、中堅以下の中小企業及び個人事業主に最高で家賃額の3分の2が6か月分支給されることになります。
 
 申請に必要な書類もそれほど難しくないですが、注意すべき点として1月から4月の間の売上ではなく、5月から12月の間の売上が対象であることが挙げられます。
 つまり、一番被害を受けたと思われる3月及び4月は対象外となっておりますので、5月6月及びこれから半年の間に売上が半減していなければなりません。
 
 と言う訳で、今回のエントリーでは家賃支援補助について、主に個人事業主や零細企業向けに解説していきたいと思います。
 
 

1.対象者と要件は?

 大企業未満の多くの会社や個人事業主が対象となります。
 
 事業届を税務署に出していれば対象となるので、基本的には大半の人が要件を満たしていると思っていいです。
 前年同月比の売上げと比べて減少値が50%以上の場合(または連続する3か月の売上の減少値が30%以上の場合)、給付金の対象となります。
 
 当たり前ですが、目的は「家賃の補助」でありますので、月々(あるいは年額でも)「家賃」が発生しそれを税務申告していなければ給付は受けられません。
 
 つまり、持ち家の自宅兼事業所の場合ローンが残っていたとしても給付は受けられないと言うことになり、賃貸アパート等を自宅兼事業所として活動している場合は、事業用の地代・家賃として税務申告している部分のみ、給付の対象となります。
 
 
 また、一親等以内の親族から借りている場合も対象となりません。例えば実家暮らしで(あるいは親からマンションを借りて)親に対して家賃を入れており、なおかつ賃貸借契約を書面で結びつつ事業用の地代・家賃として税務申告している場合でも、家賃補助は貰えません。
 
 逆に一親等以上の親族、例えばお祖父ちゃんお祖母ちゃんから部屋を借りて事業をしている場合は、賃貸借契約書があり事業用の地代・家賃として税務申告している限りにおいて家賃補助を受けられます。

2.いくら貰えるの?

 法人の場合は月額100万円を上限に、家賃額が75万円までは給付率3分の2、75万円を超える部分については給付率3分の1となり、個人の場合は月額50万円を上限に、家賃額が37.5万円までは給付率3分の2、それ以上については給付率が3分の1となります
 
 家賃額が50万円ぴったりの個人事業主の場合について例を挙げてみましょう。
 
 50万円のうち37.5万円までについては給付率が3分の2となり……25万円
 残りの12.5万円については給付率が3分の1となり……4万1667円
 月々について25万円+4万1667円=29万1667円の補助が6か月分受けられることになり、合計175万(とんで2円)の給付が一気に貰えることになります。
 
 たとえ家賃額が9万円だったとしても、月々6万円の合計36万円が給付されることになりますので、対象となる場合は是非貰っておきたいところです。

3.申請の方法は?

 基本的にはパソコンもしくはスマートフォンを使い、web上で申請することになります。
 「申請サポート会場」なる場所も設置される予定とのことなので、一応スマートフォンやパソコンを持っていない事業者も対応できるようにはなっているようです。
 
 申請期間は令和2年7月14日から令和3年1月15日となっております。
 
 申請の流れとしては、オンラインで「家賃支援給付金ホームページ」にアクセスしてメールアドレスを登録し、送られてきたメールのURLから申請書を作成してあらかじめPC等に取り込んでおいた(あるいはスマートフォンで撮影しておいた)添付書類をつけて申請するだけです。
 添付書類の文字等が明瞭でない場合、申請が却下される可能性があるので注意してください。
 
 具体的な添付書類は次のとおりとなります。
(1)賃貸借契約書
(2)家賃額を証明するもの(家賃領収書や銀行通帳の写し)
(3)本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)
(4)確定申告書第一表
(5)所得税青色申告決算書の控え
(6)受信通知(e-taxによる申請のみ)
(7)今年の該当月の経理ソフトや表計算ソフトで作成した売上データ、あるいは手書き売上台帳のコピーなど
 現在確定しているのはこの辺りですが、恐らく宣誓書給付金振込依頼書も必要になってくると思います。(pdfかwordをダウンロードして自署し添付書類で提出する形になると思われます。)

4.申請の際の注意事項

 対象者と要件のところにも書きましたが、あくまで家賃給付であり家賃が発生していなければ給付は受けられません。
 
 また、対象となるのは事業に用いている土地や建物の賃料であり、自宅兼事業所の場合は「事業用の地代・家賃」として税務申告していなければ給付の対象とならないので注意してください。
 
 当たり前ですが暴力団関係者は排除されているため給付の対象となりませんが、暴力団とかかわっていなければいわゆる夜の街の関係者でも家賃支援給付は受けられることになります。
 
 
 現状の申請要領では「事業に用いている家賃」を対象としているため、例えば事業所が税務申告をしていない自宅でもレンタル倉庫等を借りている場合は、レンタル倉庫の賃料は支援を受けられますし事業用に駐車場を借りている場合は駐車場についても家賃支援を受けられます。
 
 ただし、「家賃支援を受けている場合は追加の家賃支援は受けられない」となっていますので、「事業所で3分の2の家賃支援を受けているのに加えて駐車場でも家賃支援を受ける」と言ったことはできません。
 (「家賃支援給付のお知らせ」を見ると複数賃料が発生している場合は一括で申請すればその全てについて家賃補助が受けられるかのように書かれていますが、申請要領にはその事については触れられていません。
 家賃支援を受けられるのは一カ所のみの可能性もあるし、一枚の申請書で一括申請すれば複数の場所で家賃支援を受けられる可能性もあります。現在調査中ですので続報をお待ちください。)

5.まとめ

 今回の家賃支援給付金ですが売上げが半分以下に減少している月が1か月でもある場合は、基本的に6か月分の家賃支援を受けることができます。
 申請方法や要件は持続化給付金程度にゆるく、対象となるなら是非貰っておいた方がいいものです。
 
 基本部分はオンライン申請であり、また「申請サポート会場」も設置予定のため我々行政書士が関わる部分も少ないのかなとは思いますが、色々不安なことや難しいこともあると思いますので、分からないことがあれば当事務所までお気軽にご相談ください。