2020年12月29日 / 最終更新日時 : 2020年12月29日 山県 慶宏 飲食店開業 飲食店の開業できる場所、開業できない場所 店舗を借りてさあ開業!と思っていたところで、無情にも役所から通達される「その場所では開業できません」。 どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。今回は飲食店を開業するのであれば知っておきたい、「用途地域」の簡単なお話です。 1.飲食店が開業できない立地なんてあるの?2.そもそも用途地域って何? どこで分かるの?3.住宅地に開業する飲食店4.まとめ 1.飲食店が開業できない立地なんてあるの? まず怖がらないで欲しいのは、基本的に通常の飲食店や喫茶店であれば日本のどこでも開業はできます。 ただし、例外的に広さに制限がかかる場所や業務形態的に開業できない場所があり、そう言う場所があると言うことは知っておく必要はあります。 開業場所的に言えば、飲食店は大きく分けて3つの形態に分かれます。 通常の飲食店や喫茶店、深夜に酒を提供する飲食店(バーや居酒屋)、接待等が伴う飲食店(キャバクラやスナック)の三形態です。 (1)通常の飲食店や喫茶店 通常の飲食店や喫茶店の場合、基本的にはどこでも開業できます。 ただし、住宅専用地域に開業する場合は建物延べ面積の2分の1以上が居住地でなければならないと言う制限があります。 また、市街化調整区域や緑化地域だったりしてそもそも建物が建てられない地域である場合は開業自体ができません。 (2)深夜に酒を提供する飲食店(バーや居酒屋) 深夜営業する居酒屋やバーの場合、通常の飲食店と比べてぐっと制限がかかります。 開業できる地域が近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域に限定され、住宅地専用地域には開業できなくなります。 住宅地だと思ったら近隣商業地域だったり商店街があるので商業地域だと思ったら住宅地だったりと言ったこともあるので、注意して欲しいです。 ① 通帳の作成と自己資金の貯蓄 近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域に限定されることに加えて、保全対象施設の近くで営業ができないと言う制限が加わります。 具体的な保全対象施設や距離制限は条例によって異なっており、中々厄介です。 また、居抜きで店舗を借りる場合、前は許可を貰えたのに今は近くに図書館や保育所が出来てしまったので現在は許可が貰えないと言ったケースも頻発しているため、用途地域以外にも調べることが多くなります。 正直、行政書士等の専門家に頼んだ方が無難です。 2.そもそも用途地域って何? どこで分かるの? 用途地域とは地域ごとに建てられる建物を法律で決めたもので、地域ごとにどういったお店が出せるかを定めているものです。 現在のところ13の地域に分かれており、都市内であればどこであっても用途地域に指定されています。 ・第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・田園住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域 商業・工業系地域は工業専用地域以外は原則的に飲食店が開業できますが、住宅地域は制限されていたりされていなかったりとまちまちです。 どこがどのような用途地域に指定されているかは役所に行けば調べられることですし、どの用途地域に何が開業できるかもネット等で調べられますが、自分で全部やろうとするとどこに落とし穴があるか分かりません。やはり行政書士や建築士等のプロに頼んだ方が無難ではあると思います。 不動産屋さんに聞いてもいいですが得意不得意もあり全部の不動産屋さんが把握しているわけではないですし、中には契約を急ぐために適当なことを言って開業できないのに「開業できます」みたいなことを言う人もいるので、そこは留意しておくといいかもしれません。 工業専用地域も飲食店は開業できませんが、そもそも賃貸にしろ購入にしろ空いてる土地や建物が無いような場所なので忘れてしまって結構です。 3.住宅地に開業する飲食店 深夜まで営業する居酒屋やバー、キャバクラやスナックと言ったような店舗でなければ、住宅地でも飲食店は開業できます。 ただし、用途地域ごとに開業の為の制限があり、その制限が細かすぎるので、この辺りが「プロに頼んだ方がいい」と言っている所以です。 (1)第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域 「兼用住宅でお店が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のもの」と言う制限があります。 戸建てしかないような住宅地で開業する場合は「住宅と一体となってる上に狭い店じゃないとだめだよ」と言うことです。 (2)第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域 「500㎡以下で2階以下のもの」と言う制限があります マンションが立ち並ぶような場所なら、普通の飲食店であれば余裕で開業できます。大規模な店舗は開業できないので大規模店舗を考えている場合は注意が必要です。 (3)田園住居地域 「店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が150㎡以内のもの」と言う制限があります。 田舎の住宅地であればそこそこの規模の飲食店が開業できます。更に現地で採れた農作物や海産物が中心であれば、床面積の要件が500㎡以内まで緩和されます。 (4)第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域 「制限なし」 駅近の住宅地や幹線道路に近い住宅地域が主にこの区分に充てられています。制限なく開業できますが、住宅専用地域と混在していたりするのでよく見ておく必要があります。 4.まとめ 滅多にある事ではないですが、土地を買って建物を作っていざ飲食店開業!と言う段になって用途地域の問題で役所から許可が貰えない、なんてケースも稀にあります。 通常の飲食店であればそこまでのケースはそれ程ないですが、バーやスナック、キャバクラですと賃貸物件でも割と頻発する問題です。 問題が起こってから行政書士や弁護士等に相談に行っても、すでにどうしようもない場合も多いです。 なので、許可取得を頼まないまでも、できれば賃貸借契約を結ぶ前くらいまでには、一度行政書士に相談した方がいいと思います。 行政書士に無料相談する。 ※お困りごとがございましたらお気軽にお申し付けください。 お名前 (必須) メールアドレス (必須) メッセージ本文 (必須) お電話でのご相談も承っております。03-5822-2230