料飲店等期限付酒類小売業免許について

 ※当免許は申請期間延長され、2020年12月30日まで申請が受付られることとなりました。

 先般、国税庁から料飲店等期限付酒類小売業免許の発表がありました。
 
 これがどのようなものかと言うと、大雑把に言えば「飲食店に対して期限付きの簡素化した酒類小売業免許を付与する」と言ったものになります。
 
 目的としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と外出自粛を受けて、客数の減少や売上の大幅減が起きている飲食店のストックとなってしまっている酒類をテイクアウト、あるいはデリバリーできるようにすると言う内容です。
 
 本来、酒類は税務署から酒類小売業免許を受ける必要があり、申請書と添付書類はかなり複雑である上に、申請から許可が下りるまでの期間も2か月とかなり長いものとなっています。
 しかし、今回の飲食店に対する「期限付酒類小売業免許」については、添付書類が大幅に簡素になっており、また、期間も短くなっている模様です。今回のエントリーでは「期限付酒類小売業免許」について、概要と申請方法をお話ししたいと思います。

1.対象となっているのは?

 「期限付酒類小売業免許」の対象となっているのは、普段酒類を提供している飲食店です。
 酒類をメインに提供している居酒屋はもちろん、蕎麦屋や焼肉屋等でも構いません。
 
 通常の酒類販売免許と同じく、「以前に酒税法違反をしていない」「国税を滞納していない」等が条件となっています。

2.何ができるの?

 店内に一定のブースを設けて、ストックとなっている類をテイクアウト品として顧客に販売することができます。また、都道府県を越えない範囲での出前(デリバリー)も可能となっています。
 
 消費者が希望するなら、量り売りをすることもできるようです。ただし、量り売りには消費者が容器を持参する必要があるので注意してください。
 店側で容器を用意して酒を分ける場合は「詰め替え」となり、別途税務署への届出が必要となります。
 
 店が一緒に蓋付きの小さな酒瓶を売りに出して、それを客が買いつつ量り売りしたらどうなるかって?
 どうなるんでしょうね???(自己責任か管轄税務署への確認をお願いします。)

3.逆に制限はあるの?

 普段店に置いてある酒しか売ることはできません。これ幸いと普段置いてない缶ビールを売ってはいけないと言う訳です。
 
 また、他県へのデリバリーはできません。
 隣の県まで10mくらいしかなくても、通信販売酒類小売業免許の制限に引っかかってしまうため越境して酒類のデリバリーはできません。
 
 また、取得日から6か月の間だけ有効です。特別措置がない限りは6か月経過した時点で当然に失効します。
 申請期間も6月30日までの期限付きとなっていますのでお早めにご準備ください。
 
 ※申請期間が2020年12月30日まで延長され、期限についても2021年3月31日までに延長されました。

4.どうやって免許が取得できるの?

 今回、迅速性を重視するためにちょっと特殊な申請方法となっています。
 
 通常行政に対する申請は書類一式を揃えてから始めて審査となりますが、今回はまず作成しやすい書類4点を先に提出して、その後審査中に、残りの書類を提出する流れになっています。提出は管轄の税務署に対して、郵送でも窓口でもe-taxでも提出することができます。
 
 
 提出する書類について確認してみましょう。
 
 
 ・申請時に提出する書類
 
① 住民票の写しもしくは法人登記事項証明書
② 酒類販売業免許申請書(WORD)
③ 販売業免許申請書次葉1(WORD)
④ 販売業免許申請書次葉2(WORD)
 
 
 ・審査中に追完する書類
 
① 販売業免許申請書 次葉3(WORD)
② 販売業免許申請書 次葉6(WORD)
③ 一般酒類小売業免許申請書チェック表(WORD)
④ 酒類販売業免許の免許要件誓約書(WORD)
⑤ 地方税納税証明書
⑥ 酒類販売管理者選任届出書(WORD)
⑦ 販売しようとする酒類を説明した書類
⑧ 定款(法人のみ)
 
※審査中に追完する書類は税務署によって見解が異なる可能性及び刻々と情勢が変化していく状況のため、管轄税務署に確認して最新情報をお確かめください。
 
 簡素化されているとは言え、結構な数の書類を要求されるようです。しかし、資金関係や収支の見込み表の提出が要求されていないのは救いでしょうか。
 
 また、あわせて酒類販売管理者の選任には、酒類販売管理研修の受講が必要となります。
 しかし新型コロナウイルス感染症の影響により、酒類販売管理研修が実施されていない場合があります。
 現時点では直近での受講が不可能であれば、未受講での申請が可能と言うことにはなっていますので、管轄税務署にご確認をお願いします。
 
 また、通常登録免許税が3万円かかりますが、今回は期限付きと言うこともあり登録免許税は一切かかりません。

5.まとめ

 今回の新型コロナウイルス感染症の騒動で、国税庁側もかなり思い切った策に出てきました。個人的には申請書類の五月雨式提出を認めたのはかなり画期的なことだと思っています。
 
 「期限付酒類小売業免許」は従来の酒類小売業免許と比べて審査期間が短いとされてるとは言え、税務署にかかる申請なのでやはりそれなりの審査期間を要することが予想されます。
 できるだけ迅速な手続きをお勧めしておりますが耳慣れない書類も多く中々難しいとは思います。当事務所では飲食店の皆様にできる限りのサポートをしたいと考えておりますので、まずは相談からでもお気軽にお申し付けください。