小さく始める代行屋さん

 どうにも不安定な情勢が続くこの頃です。
 
 「今の会社が危ないので何か事業を始めておきたい。」「このご時世だから副業をするなり手に職をつけるなりしたい。」
 そんな思いでいる方は結構多いのではないかと思います。
 
 しかしながら立ち上げ事業を考えるのは思いのほか難しいもので、自分の専門スキルが分からなかったり何かを思いついても資金が無かったりでどうにもうまくいきません。
 
 そんな折に候補となるのが、他人の代わりに何かを請け負う代行屋と言う事業です。

1.代行屋とはなんぞや

 各種作業を代わって行う業種です。分かりやすいところでは家事代行でしょうか。
 他にも墓参りやペットの散歩を代行したりと、法に触れない範囲ならできることは大体請け負う事業です。
 
 人を抱えて企業の形を取っているところも多いですが、個人事業で代行業を営んでいるところもたくさんあります。
 専門技能も必要と言えば必要ですが、どちらかと言えば「大体の人はできるが時間がない人の為に時間を売る」事業と言えます。
 
 特に買い物代行なんかは、今のご時世にはうってつけの仕事と言えるのではないでしょうか。
 
 特別な技能やスキルが必要と言う訳では無いので、うまく時間が折り合えば0から始めてもそこそこの収入が得られます。

2.どんな業務があるの?

 平たく言えば便利屋です。時間がない人に対して時間を売る業務であり、どこかしらにニーズが転がっています。
 
 例えば今の世の中で言えば外に出られない人のための「買い物代行」、やらなきゃいけないけど行く時間がない人のための「墓参り・法事代行」、友達が少ない人のための「結婚式のサクラ」など、なにがしかの需要は転がっています。
 年末年始の人が足りない時期に飲食店の従業員をやる「店員代行」等も、仕事の一つです。

3.代行屋に必要な資格や許可はある?やってはいけない業務って?

 代行屋が行うのはほとんどが日常の業務ですので、基本的には資格や行政の許可は必要ありません。
 しかし無資格でOKだと思っていた業務が意外なところで資格や行政の許可が必要になるケースがありますので、最低限度の独占業務や許認可が必要なものは覚えておいた方がいいと思います。
 
 と言う訳で、許可や資格が必要なものの例をいくつか挙げていきたいと思います。
 ※次のケースは全て業として有料で請け負うことを想定しています。
 
 
① 引越の手伝い
 
 「荷造りだけ」「トラックに運び込むだけ」でしたら基本的に何の資格もいりませんが、自動車も業者が出すとなると話は別です。
 業として輸送をするとなると、一般貨物自動車運送業等の警察署の許可が必要となります。
 ちなみに一般貨物自動車運送業の場合は「トラック5台を以上所持すること」等の個人事業でやっていくには厳しい要件がありますので、引越し業者は個人事業でやるにはあまり向かないかもしれません。
 
 
② 人の代理で交渉する
 
 「交渉してくるの面倒だなあ、代行屋さん、ちょっと代わりに行ってきてよ」と頼まれる事もあるかもしれませんが、残念ながら交渉事は「法律行為」であり、代理できるのは弁護士に限られます。ですので弁護士でない者が他人の代理人となって交渉することはできません。
 一時期退職代行が流行りましたが、退職に関する交渉は法律事務ですので、基本的には弁護士でなければ代理人になる事はできません。
 
 あわせて役所に対する書類の作成や申請も、各士業の独占業務となっています。例えば税務書類の作成代行は税理士の独占業務ですので、頼まれても請け負わないようにしておきましょう。
 
 
③ 人の相談に乗る
 
 基本的にただ話を聞くだけでしたら資格はいりません。
 ただし、例えば法律に関することや医術に関することについては、弁護士や医者でないと相談に乗れないことになっています。
 ですので「話を聞いて欲しい」等の業務が来たら、「私は専門ではないので、ただ話を聞くだけでアドバイスとかはできません。お話をお伺いするだけです」等、何か前置きしておいた方が無難かもしれません。
 
 意外なところに罠があるのは金融や投資に関する相談です。
 基本的には相談を受けるだけでしたら資格はいりませんが、相談者に対して直接金融商品の価値についてレクチャーしたり「○○社の株を買った方がいいんじゃないの?」「ドルが下がりそうだし売っておく?」と言ったような具体的な助言を伴う場合は、投資助言業の営業許可が必要となります。
 
 他にも専門性のある分野の相談に乗るのは意外なところでリスクがあるので、注意しておきましょう。
 
 
④ 送迎や運転を代行する
 
 代行業としては割とメジャーな部類ですし、結構な数の事業主が事業内容に「送迎代行」と謳っているのですが、誰かの運転を代行する業務は警察署の許可が必要です。
 しかも二種免許が必要だったり事業者に欠格事由がある場合は許可が下りなかったりと、意外と要件が厳しいところもあります。
 
 世の中には子供の塾の送迎代行や幼稚園の送迎代行を業務としてやっているところもありますが、実のところ業務に付随するものでない場合は無許可で行うと道路交通法違反に当たる可能性があります。
 例えば幼稚園の送り迎えに幼稚園側が幼稚園バスを出すこと自体には許可は必要ありませんが、幼稚園とは無関係の第三者が業として幼稚園児の送迎を行うためには二種免許と許可が必要となります。
 
 警察関連は見つかると厳しいつるし上げが待ってますので、「見つからなきゃ大丈夫だろう」と言ったような安易な気持ちで始めてしまうのはやめておいた方がいいと思います。
 
 
⑤ 浮気調査などを代行する
 
 これも警察案件です。誰かを尾行する、個人の過去を調べると言った調査業務は探偵業として警察署に届出が必要となります。
 トラブルになりやすい分野でもあり、無届出でやってもバレやすい事業です。
 基本的に調査業務は請け負わないか、探偵業の届出をしておくことがいいと思います。
 
 
⑥ 害虫駆除を代行する
 
 害虫駆除も結構メジャーな代行業務のひとつですが、特殊な薬品等を使う場合が多いので各地の条例で害虫駆除に対する届出の有無が定められています。
 都市部では大体条例で届出が必要になっていますので、念のため役所に確認する等して調べておきましょう。
 
 
 

4.意外なものが資格が必要だったりするんだね。逆に資格が必要だと思われてるけど不要なものはあるの?

 何らかの資格や許可が必要と思いきや、意外と必要がない分野ももちろんあります。
 
 
① 料理を代行する
 
 レストランやなんかと同じ感覚で調理師免許や食品衛生管理者等の資格が必要と思いきや、調理の代行には特にこれ取って資格等は必要ありません
 あわせて保健所に対する許可も必要ありませんが、自分で厨房を構えて料理を提供する場合は営業所扱いになってしまいますので、食料品販売業の許可が必要となってしまいます
 流しの料理人には許可も資格もいらないけど、自分の城がある場合は必要と言うことですね。
 
 
② イベント出席代行・物品の引取りを代行する
 
 当然のことですが結婚式のサクラや墓参り代行にも特にこれと言って資格や許可は必要ありません。
 法律行為でも何でもないので弁護士資格は不要です。
 物品の引取り代行についても同じですが、日用品でない物について金額の交渉をする場合は弁護士資格が必要となります。
 
 
③ 子守りを代行する
 
 保育士資格を持ってないと業務ができないと思いきや、ベビーシッター等についてもこれと言って資格が必要なわけではありません。
 介護についても生活援助であれば資格等は必要ありませんが、要介護者の身体にふれて行う身体介護(入浴介護や排泄介護等)については、介護職員初任者研修以上の資格が必要となってきます。
 

5.まとめ

 代行屋が副業や個人事業のスタートアップに向いている点として、「勉強期間が短い」「日常業務なので一定のニーズがある」「ニッチなところで勝負できる」と言う強みが挙げられます。
 何かを揃えなきゃいけない、許可を取らなきゃいけないと言った要件が少ないので、明日にでも事業主届を出して副業で始めても問題はありません。
 「仕事もお金も無くてどうにもならない!」に陥る前に、まずは小さく代行屋等の副業から、始めてみてはいかがでしょうか。