【飲食店向け】テイクアウト等の助成金について

 既存の飲食店が新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める方への支援策として、東京都中小企業振興公社から「業態転換支援事業」の助成が出ています。
 
 内容としましては、飲食店が従来の業務に加えて新規にテイクアウト販売等を始める場合に、最大100万円の範囲内で、経費の80%を助成すると言うものです。
 
 名目は助成金であり、前々回にブログのエントリーでまとめた東京都の協力金等コロナ対策給付に比べると、審査に若干の手間と時間がかかります。
 
 
 

1.誰が貰えるの?

 公社によれば、助成対象者は「東京都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業者含む)」となっています。
 
 都内にある店舗内で調理した飲食料品を提供することができ、飲食可能なスペースを有する事業所であり、資本金の額または出資の総額が5000万円以下の会社または常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人の方が助成対象者となります。
 
 注意点としましては、法人の場合、本店(または)支店が都内にあり、あわせて店舗も都内に存在する必要があります。どちらか一方だけでは対象となりません。
 
 個人の場合は店舗が都内にあれば住居が都内になくても大丈夫です。
 
 また、同一目的の助成金を国や都道府県から受給していた場合も対象外となります。持続化給付金や東京都休業協力金等は性質が違うものであるため、受給していても問題ありません。

2.何をする場合に貰えるの?

 公社のサイトに列記されたものが主な助成対象となります。
 具体的に言うと、下記4点に含まれるものであれば対象となるようです。
 
(1) 販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費 等)
(2) 車両費(宅配用バイクリース料、台車 等)
(3) 器具備品費(WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材 等)
(4) その他(宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料 等)
 
 宅配を始める際に必要となるのであれば、「保冷庫」や「真空包装機」等の厨房機器、調理機器も対象となります
 また、車両費についても、既に所有している自転車やバイクを宅配用に改造するために費用を支出した場合も対象となります。
 ただし、改造は最低限のものに限るとされています。
 
 印刷物製作費は助成の対象となりますが、チラシ制作等のために必要なパソコン、プリンター、インクは対象とならないとされています。個人的にはインク等は消耗品なので、対象にして欲しいと思っているとこですが。
 また、助成対象はあくまで物品そのものだけであり、例えばネットショップで購入した物の送料や手数料は対象となりません。
 
 あわせて、フリマやオークションで購入した商品も対象とならないと言うことですので、注意してください。(趣旨としては、事業者でない個人からの購入は認めたくないと言うことではないかと思います。)
 
 食品のオンライン販売をする場合、自サイトを作成(または改装)して運営する場合は助成の対象となります。しかし、楽天市場やアマゾン等のECサイトを利用する場合は対象となりません。

3.大体いくら貰えるの?

 助成限度額は100万円とされており、助成率は助成対象と認められる経費の4/5以内(千円未満切り捨て)となっています。
 しかし助成対象経費は最大100万円と言えど、 詳細は対象ごとに上限が詳しく定められており、満額給付とはいかないでしょう。
 
 
 具体的に何をするといくら助成されるか、詳しく見ていきたいと思います。
 
(1)チラシ等印刷物の制作委託費
 上限度30万円
 
 テイクアウトや宅配、移動販売(以下、新規デリバリー事業とします)を実施する内容等が記載された紙媒体のチラシ・ポスター等の制作するための経費及び外部に委託する経費が含まれます。デザイン等を委託した場合の費用も助成されるのが嬉しいところです。
 
 
(2)PRするための広告掲載費
 上限度20万円
 
 新規デリバリー事業のPRを目的として、チラシ折り込み、新聞、雑誌、DM、WEB広告への広告掲載費です。
 掲載枠の確保に係る経費やデザイン費、撮影費、キャッチコピー・文章作成費等に対して助成されます。
 
 
(3)PR動画制作委託費
 上限度20万円
 
 新規デリバリー事業を実施する内容等が表示された動画の制作及び委託費です。
 上の広告掲載費(チラシ類及びWEB広告)とは分けて区分されており、別枠で助成が受け取れます。
 
 
(4)WEBサイト等制作委託費
 上限度50万円
 
 新規デリバリー事業のPRを目的として、WEBサイトの作成(及び改装)に必要な経費に対して助成されます。
 
① 新規にWEBサイトを作成する場合は、ドメイン取得費、サーバーレンタル料(クラウド含む)3か月分、コンテンツ制作委託費、予約受付システム(テイクアウト、宅配用)の搭載費用が丸々受け取れます。
 
② 既存のWEBサイトを変更する場合は新規よりも少々手厳しくなっており、申請時点で申告されている場合のみが対象となります。
  テイクアウトや宅配、移動販売を新たに始めるためのデザイン・文言・写真・イラスト等の変更部分の経費が明確である場合に限り、その該当部分(ページ)のみが対象となります。
  予約受付システム(テイクアウト、宅配用)の搭載費用は新規の場合と同様に助成されます。
 
 
(5)看板・POP・のぼり制作費
 上限額20万円
 
 新規デリバリー事業を実施する内容等が記載された、のぼり・看板・POPの制作に係る制作費及び設置費(設置に伴う、旧看板の撤去費用も含みます)に対して助成されます。
 アナログのPOPのみならず、デジタルサイネージの購入、リース・レンタル料、設置費も含まれます。
 
 
(6)デリバリーバイク等のリース・レンタル料
 上限額の通知なし(おそらく20万円)/ リース・レンタル料 (最長3ヶ月間)
 
 独自で宅配や移動販売を実施する際に必要な、デリバリーバイク等のリース・レンタル料です。
 自動車等を使って食品を調理・販売したい場合は、別途保健所の許可が必要になります。
 注意点として、あくまでリース費用に対して助成されるものであり、車両購入は対象外となっています。
 
 
(7)自転車等の購入費
 上限額20万円 / リース・レンタル料(最長 3 ヶ月間)
 
 独自で宅配や移動販売を実施する際に必要な自転車、リアカー、台車のリース・レンタル料または購入費です。
 台車等をもちいて新たに移動販売を実施する場合は、別途保健所の許可が必要になります。
 自転車やリアカーについては、(6)の車両とは異なり購入も助成の対象となります。
 
 
(8)通信環境設備導入費及び宅配代行サービス利用に係る経費
 上限額10万円 /リース・レンタル料(最長 3 ヶ月間)
 
 宅配代行サービス(UberEatsや楽天デリバリー)の利用等、新たな取組を実施する際に必要な、インターネット通信環境の整備(WiFi等)に係る初期導入費(機器本体購入費や、設置工事費等)またはリース・レンタル料です。
 宅配代行サービスを利用する際に発生する初期登録料、月額使用料、配送手数料等も含まれます。
 
 
(9)梱包・包装資材等の購入費
 上限額15万円
 
 新規デリバリー事業に必要となる、はし等の食器類、包み紙、手提げ袋、おてふき、ナイロン手袋、調理器具等の購入費用に対して助成されます。
 
 
(10)新たな取組に必要となる店舗等内装工事費
 上限額50万円
 
 例えばテイクアウト用小窓の設置やショーウィンドウの設置等に対して助成されます。
 自費で購入する移動販売用の車両に係る制作・改造費、車両に設置する器具設備費(換気設備、保管設備、洗浄設備等)もこの項目に分類されます。
 「内装、制作・改造等は新たな取組に係る必要最小限のものに限る」と言うお達しが出ています。
 
 
 項目が多く長々としてしまいましたが、なかなか助成対象は広いと思います。
 項目ごとに助成を受け取れますので、対象となる事業を始めるのであれば貰っておいて損はないです。

4.どうやって申請するの?

 助成金ですので申請したらすぐお金を貰ってはいおしまい、と言う訳にはいきません。それなりの手続きが必要です。
 
 全体の流れとしては次の9ステップを踏むこととなります。
 
① 交付申請
② 書類審査
③ 交付決定
④ 取組実施
⑤ 経費(実績)報告
⑥ 完了検査
⑦ 助成金額決定
⑧ 助成金請求
⑨ 助成金交付
 
※太字は申請者がやらなければいけないことです。
 
 助成金ですので基本は実施した取り組みに対して後払いと言うことになります。ですので交付は早くても申請から3~4か月後となります。
 
 助成の対象期間は、交付決定日から令和3年1月31日(日)までの間の最長3ヶ月間となっています。
 例えば車両のリース契約は最長3か月となっておりますので、ギリギリに申請した場合は3か月全部の助成を受けられず損をすることになるでしょう。
 
 令和2年4月1日以降で交付決定前に着手した経費についても契約・支払いの確認(契約書や発注書、領収書等)ができれば対象とすることができます。逆に言うと3月31日以前のものについては助成の対象とはなりません。
 
 
 申請書の他に、添付書類として下記のものが要求されています。
 
(1)履歴事項全部証明書【原本】又は開業等届出書【写し】
(2)納税証明書【原本】
(3)直近1期分の確定申告書(未決算企業は、代表者の直近の「源泉徴収票」)【写し】
(4)食品関係営業等の許可書(現在取り扱う食品の種類、営業の形態に応じたもの)【写し】
(5)申請金額根拠資料【写し】
 
 基本的には申請書および申請金額根拠資料以外はすぐに集まるのではないかと思います。
 
 申請は郵送のみ受付けており、持参及びその他の方法では受け付けていません。
 窓口開放してもいいんじゃないかとも思いますが、申請の趣旨としては郵送に限定する方が正しいのかもしれません。

5.まとめ

 助成金・補助金の類ですので申請含めて結構手間がかかりますし、着金も3~4か月かかります。
 しかし融資とは異なり返済不要の交付金なので、対象となるならば是非とも貰っておきたいところです。
 申請期間は令和3年1月31日までとなっていますが、助成金の例に漏れず予算額に到達次第終了となっておりますので、新規にテイクアウト等を考えている場合は早め早めに動いた方がいいでしょう。
 
 「対象となりそうだけど申請が手間だなあ」「どうやって申請したらいいか分からない」「そもそもうちは対象となるの?」と言う場合もあると思いますので、まずは相談から、お気軽にお申し付けください。