資金調達の方法ークラウドファンディングについて考えるー

 資金調達手段にも色々方法はありますが、最近注目を浴びてきているのがクラウドファンディングです。
 従来の資金調達と比べると嵌った時の爆発力があり、また、お役所的な手続きいらずで資金を調達することができるため小さいものから大きなものまで数多く資金を募っています。
 もちろんのことながら失敗事例も多く、例えばtwitterでフォロワーが何万人もいるような人でも支援が集まらないなんてこともザラです。
 
 そんなわけで、今回は資金調達の手法の一つ、クラウドファンディングについてお話ししていきたいと思います。
 
 

1.クラウドファンディングってなに?どういうものなの?

 クラウドファンディングとはcrowd(群衆)とfunding(資金調達)を組み合わせた語であり、平たく言えば不特定多数の人から広く薄く資金を募る方法です。
 
 通常の資金調達であれば例えば1000万円必要であれば銀行等の大きな資本から一本釣りで資金を調達してきます(借りてくる)が、クラウドファンディングは500人から2万円ずつ集めて1000万円を調達していきます。
 
 方法にもよりますが利子が付くケースは少なく、支援者は寄付や買い物に近い感覚で投資をしてくれることになります。
 
 具体例を挙げて説明してみると、「株式会社地球ドリーム」と言う会社が「超精密地球儀」を作りたいと思い試算してみましたが、200個作るのに600万円かかる計算になりました。
 自分たちの利益も考えて一個5万円以上で売るとして、まず製作資金として600万円を調達しなければなりませんが銀行は「売れるかどうか分からない商品に金は出せない」として貸してくれそうにありません。
 
 そこで地球ドリームはクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げ、サイトのページで「地球の高低や冠雪、砂漠などの地理的特徴が再現されている超精密地球儀を作ります。一口5万円を支援して下さった方には試作品を贈呈いたします。10万円以上の支援をして下さった方には限定バージョンを贈呈いたします」としてファンディングを打ち出しました。
 
 運よく支援が集まり、300人以上から2000万円の資金を調達し、地球ドリームは「超精密地球儀」を作ることができました。
 
 以上の例は非常にうまくいった場合ですが、クラウドファンディングには想定資金を大きく上回り資金調達できる可能性も秘めています。
 
 うまく仕掛けることができれば非常に有効な資金調達手段となり得るのです。

2.どうやって始められるの?

 CAMPFIRE (キャンプファイヤー)Makuake(マクアケ)等のクラウドファンディングサイトにプロジェクトページを公開して始める方法が一般的です。
 
 資金調達までの具体的な流れとしては、
(1)企画・戦略立案
    ↓
(2)チーム編成
    ↓
(3)プロジェクトページの作成
    ↓
(4)プロジェクトページの公開
    ↓
(5)プロジェクトページの広告
    ↓
(6)目標金額の達成
    ↓
(7)支援金の受け取り
 
 と言う流れになります。
 
 クラウドファンディングサイトにもそれぞれ特徴はあり、例えば「支援が目標金額に達成しなかった場合は資金を受け取れないAll or Nothing方式」を採用しているところや、「手数料が高い代わりに目標金額に達成しなくても集まった資金は全て受け取れるAll in方式」を採用しているところ等があります。
 
 サイトの規模も支援に直結してきますので、どのファンディングサイトを使うかは慎重に選んでいきたいところです。
 
 無論のことながら別段サイト経由でなくてもクラウドファンディングはできると言えばできますが、信用面や資金調達力を考えればクラウドファンディングサイトを利用した方がいいと思います。

3.実際に資金は集まるの?

 目標額を大きく上回る事もあれば全く支援が集まらない場合もあり、両極端と言えば両極端です。
 
 クラウドファンディングは金融型・寄付型・購買型とおおよそ3類型に分類されます。
 
 金融型は融資を銀行ではなく広く浅く募るやり方であり、投資や株式に似ているところがある方法です。
 寄付型はリターンを求めないやり方であり単純に支援だけをする方法です。
 購買型は支援者に金銭以外のリターンを設けるやり方です。
 
 購買型は一般的な層に対しても比較的浸透している方法であり、この3つの中では最もパイが大きい方式となります。
 
 クラウドファンディングが向いてるケースと言うのは確かに存在し、先程の例に挙げた「超精密地球儀」と言ったようなオンリーワン的なものやロマンが詰まったものは向いていると言えます。
 
 「群衆」と言いつつも「広く浅く」と言うよりは「狭く深い」人達から資金を調達することが目標となっており、2017年に話題をさらった「カメラを止めるな!」も元はクラウドファンディングで資金を募ったものですし、総計で1億円近い資金を集めた空中盆栽も大きく成功した一例として挙げられます。
 
 飲食店で言えばファンタジー世界を表現した居酒屋や江戸の茶屋を完全再現した喫茶店等、ガチガチのコンセプト系飲食店を開業したいときに向いているのではないでしょうか。
 
 もちろんのことながら実際に大きく資金を集めるには広告力と運が必要です。
 また、主戦場はインターネットでありSNSの活用やネット広告は欠かせません
 
 特にtwitterやインスタグラム系のSNSは爆発力が違うので、有名人に広告を依頼するか自分がインフルエンサーになるくらいの気持ちで向かっていった方がいいと思います。

4.失敗の事例も多いらしいけど大丈夫?

 想定以上の資金が調達できると言うことは、その反動で全く鳴かず飛ばずのケースも数多く存在していると言うことです。
 
 近年で言えば「コロナで大変なんです、寄付してください」系は溢れすぎており、残念ながら資金を集めることはできません。
 
 また、広告力が弱く誰にも知られなければ当然資金は集まらないですし、たとえ有名人であっても、クラウドファンディング支援層の多くはリターンを求めているということもあってリターンに何の価値もなければ資金は集まりません。
 
 広く浅くでも支援は集まりません。例えばトイレットペーパーは誰にでも必要なものでもありますが、「トイレットペーパー作りたいので支援してください」では支援は来ないです。
 同じトイレットペーパーでも、「ひと拭きが天使のなで心地!今までにない最高級のトイレットペーパー!」だと資金の調達ができたりします。
 
 オンリーワンとかナンバーワンと言うものが本当に大事な要素となっています。
 
 このほかにも成功するケースや失敗するケースは多々ありますが、今回はこの辺りにして未来のブログエントリーに譲ろうと思います。
 その他の資金調達手段含めてもっと聞きたいと言う場合は、是非とも当事務所宛までご相談ください。

5.まとめ

  クラウドファンディングによる資金調達はロマンや夢を求めるものに対しては向いていますが、堅実なものに対してはあまり向いていないと言えます。(一応金融型は堅実なものの方が向いていると言えば向いていますが。)
 
 クラウドファンディングでの資金調達は金融機関の融資とは違い、センスや運が求められます
 
 成功のカギを握るプロジェクトページは事業計画書のような一定のパターンが存在せず、デザイン領域の裁量が大きいのも特徴です。
 ですので素人が一から全部手作りすると失敗の確率が上がりますし、デザイナーや写真家等、その道のプロに頼む必要も出てくると思います。
 お役所的な書類が必要ないと言う気楽さはある反面、事業計画書等を作って銀行から融資してもらう方が余程安上がりになる場合もあります。
 
 しかしながら通常の商売や商品に対する資金調達手段としては難しいかもしれませんが、逆にロマンや夢を求めるものに対しては金融機関の融資よりも資金が集まる可能性も高く、クラウドファンディングで資金を調達できるのがベストとも言えます。
 
 オンリーワンのアイデアやロマン溢れる商品を思いついたのであれば、クラウドファンディングでの資金調達も考えてみていいかもしれません。