創業時点での資金調達方法はいくつかあります。制度融資や補助金・助成金、近年では新たな投資の形態であるクラウドファインディング等があります。しかし数ある資金調達の中で最も王道かつ有力なのが、日本政策金融公庫による創業融資でしょう。日本政策金融公庫は、2008年に国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫の三社が統合され株式会社化された金融機関です。(正確には加えて「国際協力銀行」の四社での統合でしたが、2012年に国際協力銀行は再分離しました)
日本政策金融公庫は小規模事業者の担い手と言う目的があり、個人事業主や零細会社にも積極的に融資をしてくれます。また民間の金融機関とは違い、「新創業融資制度」と銘打って、新規開業者に対しても融資の門戸を開いています。更に重要な点として、返済が長期間であり低金利、そして無担保無保証で融資を受けられます。
無論相当有利な条件で融資を受けるからには条件があり、下記の三要件を満たす必要があります。
① 新たに事業を始めるか、または事業開始後税務申告を2期終えていないこと
② 創業事業について次のいずれかに該当すること
ⅰ.雇用の創出を伴う事業を始める
ⅱ.従前勤めていた業種と同じ業種の事業を始める
ⅲ.産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める
ⅳ.民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める
ⅴ.新創業融資制度の貸付金残高が1,000万円以内である
③ 創業時における創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できること
いずれもそれほど難しい要件ではないですが、やはり創業融資に限定した条件と言えます。加えて融資の上限額が3000万円とされていますので、最初から大きな事業を始められるとは言い難いです。また、自己資金300万円で3000万円を申請しても、満額の融資がおりることはまずないでしょう。(最大でも1500万円前後、事業によっては500万円しかおりないかもしれません。)しかし、やはり個人で最初から受けられる融資としては破格のものでありますし、融資の時期が限定されている以上、可能な限り切るべきカードとなります。
前回お話しした通り、自己資金がある程度潤沢である場合でも創業融資は受けるべきです。多少の利子を払ってでも現金がある事は何よりも安定経営に繋がりますし、金融機関から金を借りていると言う実績にもなります。利子についてはステータスを買っていると思って割り切ってほしいところです。