創業資金の調達方法(5)―新創業融資制度以外の資金調達方法―

 創業資金の調達方法として、日本政策金融公庫の新創業融資制度について前回までに4回に分けてブログ記事にしました。

 創業資金の調達方法はもちろん新創業融資制度だけではないですが、他の方法ではハードルが高かったり資金の振り込みまでに時間がかかったりするものがほとんどです。
 
 しかし資金の調達として使えるものは何でも使いたいところではありますので、それぞれご紹介いたします。

1.制度融資

 制度融資とは、各都道府県や市町村等の”自治体”、銀行や信金等の”金融機関”及び各地の”信用保証協会”の3機関が協力して行う、中小企業や個人事業主を支援するための融資制度です。基本的には金融機関が窓口となります。
 
 制度融資のメリットとして、日本政策金融公庫の新創業融資制度と同じく、低金利かつ連帯保証人なしの融資が可能であり、かつ、開業時でも資金が借りられやすい点が挙げられます。
 また、新創業融資制度とは違い、創業者の勤務経歴は融資の要件としては挙げられておらず、例えば「会社でSEをやっていたが、脱サラしていきなり飲食店経営」と言う場合にも融資を受けられる可能性が高くなっています。
 加えて申込期間も「創業から5年以内」と比較的長期であり、この2点においては新創業融資制度よりも優れている点と言えます。
 
 
 しかし反対に新創業融資制度と比べて小回りが利かない点もあり、
 
 ① 関連機関が3機関あるためそれぞれ申込みが必要
 ② 融資の限度額が新創業融資制度よりも低い
 ③ 申し込みから融資実行までの間が長く機動性がない
 ④ 融資実行が開業後
 
 と言ったデメリットがあります。
 
 特に④の「融資実行が開業後」と言う点について、例えば飲食店や医院・調剤薬局等で言うと営業許可証発行後と言うことであり、設備の納入や創業商材の購入に融資金が使えないということになります。
 飲食店にしろ医院にしろ開業前から大変にお金がかかるものですから、この遅れは致命的となります。
 
 融資までの手順に関して言えば、金融機関への創業資金申込みとして新創業融資制度の申込みとほとんど一緒ですので、前回までのエントリーが参考になると思います。
 
 

2.補助金・助成金

 
 補助金と助成金は、国や地方公共団体が事業者に対して資金を支給してくれる制度です。
 基本的に「原則返済不要」と言う点において補助金と助成金も違いはありませんが、補助金は「各公共団体につき最大いくらまで」という決まりがあり、人気によっては抽選や先着順となる可能性がありますが、助成金は受けとるための条件満たしていれば、ほぼ支給されます。
 
 補助金にしろ助成金にしろ受付開始から締切りまでの間が短く、総数も年間1万件以上と非常に膨大であり素人ではとうてい太刀打ちできないようなところがあります。これこそまさに補助金・助成金を専門に扱っているプロの力の見せ所でしょう。
 
 また、補助金も助成金も申請から受け取れるまでに長いスパンがあり、振り込まれるまでに大体1年近くかかる場合がほとんどです。創業時の資金調達に馴染む方法ではなくあくまで補助輪としての役割だと思います。
 
 しかし原則返済不要と言う点は補助輪として大変有用だと思いますので、自分の条件に合致する補助金・助成金が見つかれば、是非トライしてみてもいいのではないかと思います。
 
 

3.資本家からの投資及びクラウドファインディング

 
 金持ちがパトロンになって事業を興す、と言う形態はずっと昔からありました。
 
 「銀行から借りるくらいなら私に金を出させてよ」みたいなことを言われてそのまま金融機関からの融資を受けずに大きな事業になった、みたいなケースも中にはあると思います。
 
 資本家からの投資は比較的メジャーな資金調達手段だと思っていますが、しかしその一方で方法は各個々人のやり方に委ねられており、「こうしたら資本家が投資してくれるよ」みたいな画一的な正解はないと言えます。
 
 いずれにせよ資本家と知り合えなければ使える手段ではありませんので、やはりコネクションが大事になってきます。
 世の中には「資本家から金を引っ張るなんて簡単だよ!」みたいな方もおられますので、そういう人とも付き合いつつ人脈を広げていく方法が最善だと思います。
 
 なんだかふわっとした解説になってしまい申し訳ありません。
 
 
 資本家からの投資と似たような方法にクラウドファインディングがあります。
 
 ”CAMPFIRE”や”Readyfor”と言ったクラウドファインディングサイトに登録し、不特定多数の支援者から資金を調達する方法であり、資本家と知り合うよりはハードルの低い方法であると思います。
 
 もちろん「不特定多数から資金を調達する」と言うこと大変難しいことであり、戦略があり訴求力を持ったコンテンツでなければ1円も集まらないと言ったケースもざらにあります。
 「自分自身が優良なコンテンツである」「継続して何かをやってきており、ある程度フォロワーがいる」「やりたいことそれ自体が面白い」と言った条件が揃わなければ容易に資金は集まりません。
 
 しかし、条件が重なったときの爆発力は他の方法の比ではありませんので、数年単位で下準備をしながら積み重ねていけるのであればやってみるのも面白いのではないかなと思います。
 
 資本家からの投資もクラウドファインディングも大切なことは「自分自身が優良なコンテンツである」と言う点です。人間的な魅力を磨いたり何だか面白いことをしていれば、自然に人も金も集まってくるのではないかと思います。経営者たるもの磨きましょう、自分自身を。
 
 

4.まとめ

 
 創業資金の調達方法としてはやはり日本政策金融公庫の新創業融資制度を一番手に考え、足りない点や使えそうな点を他の方法に求めるやり方がいいのではないかと思います。
 
 もちろん新創業融資制度でしかお金を調達してはいけない! と言うことはありませんので、使えるものは何でも使えの精神で資金を調達していくことが大事だと思います。
 
 さて、前のエントリーにも書いたとおり、資金調達の中でも比較的メジャーな方法である「身内からの援助」については、できることなら使わない方がいいと思います
 
 身内は何もなくなった時の最後の拠り所、人間としての居場所を確保しながら事業を興すのがいいのではないかなと、私は考えています。