令和2年度インバウンド補助金開始!

 公益財団法人東京観光財団のサイトで令和2年におけるインバウンド対応力強化補助金の募集が発表されました。
 
 
 
 補助金の対象者には飲食店も含まれておりますので、飲食店がインバウンド関係の事業を拡大するなら今でしょう。
 と言う訳で、今回のエントリーでは都内飲食店に対する補助金についてを中心に、何に対して補助されどれくらいの額が支給されるのかお話ししていきたいと思います。
 

1.補助対象事業者は誰?

 東京都内の「旅館・ホテル」「簡易宿所」「飲食店」「免税店」が対象となっています。
 
 都内の施設が限定なので、会社や事業主が都内在住であっても店舗が埼玉や神奈川にある場合は補助対象とはなりません。
 逆に施設が都内にあれば、会社や事業主が都になくても補助の対象となります。
 
 飲食店については特に「外国人旅行者のための多言語対応に取組んでいる店舗」と注釈が付いており、従前から外国人に対する受け入れをしていたか、これを機に大幅な受け入れ強化をする必要があります。
 おおよそメニューを日英併記する等、外国人の受け入れを普段からしていることをある程度証明できれば大丈夫ではないかと思います。
 
 その他に飲食店については資本金の額が5000万円以下及び常時使用する従業員の数100人以下であることと言った、大企業除けの要件はありますが、あまり気にしないで大丈夫でしょう。
 深夜酒類提供飲食店営業の届出をしていても補助対象事業者となりますが、風営法適用店舗については除外されています。

2.どの事業に対して補助されるの?

 対象事業は厳密に決まっており、下記の5事業に対して補助されることになります。

(1) 多言語対応
 店舗の案内表示や店内設備の利用案内、ホームページ、パンフレット等の多言語化、多言語対応タブレット導入についてが補助の対象となります。
 
 タブレット導入については単純にタブレットを導入するだけでなく多言語対応に必要だと認められること(例えば翻訳アプリをインストールする等)が必要です。
 時間的にも金銭的にもコストが分かりやすいので、今から外国人受け入れ態勢を強化していく場合はここを軸に考えていく形でしょうか。
 
 
(2) 店舗内のトイレの洋式化
 店舗のトイレが和式トイレであることが前提となります。
 和式トイレを洋式トイレに改修する費用について、補助を受けることができます。
 和式トイレが存在する店舗が前提となってきますので、対象となる店舗は限られてきますね…。
 
 
(3) クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入
 クレジットカードや電子マネー等の決済機器を新規で導入する場合に補助を受けることができます。
 
 補助金の性質上、純日本人向けの電子マネー決済システムは認められないことが予想されるので、東京観光財団に事前の確認はしておいた方がいいでしょう。
 
 
(4) 外国人旅行者の受入対応に係る人材育成
 研修会の開催や外部セミナーを受講する費用について補助されます。
 
 ただし、以下の要件を満たす必要があります。
① 店舗で働く従業員等(役員を含む)を対象とした取組であること
 
② 外国人旅行者の受入対応の向上に資する内容であること
例)外国人旅行者に対するおもてなし手法の習得(多言語対応の習得・向上を含む)
  多様な文化や習慣への対応
  外国人旅行者の安全・安心確保(災害対応) など
 
③ 個人の資格取得・検定合格を目的としたものでないこと(英検などの語学検定などは対象外)
 
④ 東京都内及び隣接県内にて開催されること(eラーニング、通信講座は対象外)
 
⑤ 外部セミナーの場合、受講したことが証明できる書類(受講証等)が提出できること
 対面の研修のみに限定しており、ネット講座は対象となりません。
 コロナ対策と真っ向から対立している条項ですが今年だけ特例で変えられなかったのでしょうか。
 
 
(5) その他、理事長が外国人旅行者の受入対応の強化のために必要と認める事業
 「訪都外国人旅行者のニーズ」、「利便性や快適性の向上」、「新たに実施する受入対応強化の取組」を満たす事業であること、となっています。
 (1)から(4)の類型に当てはまらないもので、個々別々に判断するべきものがここに押し込められていると考えていいでしょう。
 
 具体例を挙げると、例えばハラール認証の導入費用等がこの項目に入るのではないかと思います。
 他にも対象となるものがあるかもしれないので、気になるものがあれば東京観光財団に問い合わせる必要があります。

3.どんな費用が対象になってどんな費用は非対象なの?

 補助事業に係る経費のうち、施設整備費、備品購入費、設置工事費、制作費、印刷製本費、翻訳費、機器購入費、謝金(研修等に係る講師料)、賃借料(研修等に係る会場料)、委託費が対象となります。
 
 逆に、下記のものは補助対象外となっていますので注意してください。
① 間接経費(消費税その他の租税公課、収入印紙代、通信費、水道光熱費、振込手数料等)
② 設備・機器設置後の維持費、メンテナンスに係る消耗品費
③ リース・レンタルによる設置機器に係る経費
④ 契約から支払までの一連の手続きが、財団が指定する期日までに行われていない経費
⑤ 交付決定前に発注・施工又は導入した設備等に要する経費
⑥ 見積書、契約書、仕様書、請求書、振込控等の帳票類が不備の経費
⑦ 補助金申請書に記載のものと異なる設備等を購入した経費
⑧ 通常業務・取引と混合して支払が行われている経費
⑨ 他の取引と相殺して支払が行われている経費
⑩ 中古品の購入経費
⑪ グループ会社等関連会社との取引に係る経費
⑫ 過剰とみなされる機器を導入する経費、一般的な市場価格又は事業内容に対して著しく高額な経
⑬ 借入金等の支払利息及び遅延損害金
⑭ 他の補助金等の補助制度の対象となった経費
⑮ その他、理事長が適切ではないと判断する経費
 注意すべき点はリース・レンタル品や中古品は認められていない点です。
 物品を購入する際は全て新品である必要があります。

4.どれくらい補助されるの?

 1店舗につき最大で300万円の補助が受けられます。
 ただし、補助率は50%なので満額補助されるのは事業に対して600万円以上のコストをかけた場合となります。
 
 また、コンサルティングに係る経費は補助対象経費の10%が上限とされているため、例えば多言語化対応に100万円かかった場合には、コンサルティングにかかる経費は10%の10万円が上限となります。
 
 交付決定の通知を受け取る前に補助事業を開始した場合は補助金は交付されないので注意してください。
 あわせて補助対象経費となるのは初期経費のみであり、運営費(ランニングコスト)は補助対象経費とはなりません

5.補助金の募集期間はいつからいつまで?

 令和2年度の募集は令和2年9月1日から令和3年3月31日までの約半年間となっています。
 ただし補助金の予算が尽き次第終了となっているので、インバウンド向け事業の拡大を考えているなら早めに対応した方がいいと思われます。
 
 例年であれば4月1日に募集開始3月31日で募集終了でしたが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で半年遅れの募集となりました。

6.まとめ

 2020年9月現在、新型コロナウイルス感染症のためにインバウンドは壊滅的な状況に陥っていますが、どれくらい先になるかは分からないもののいずれは解消されることが予想されます。
 その時までに準備をしていればインバウンドも受け入れやすいですし、今年について言えばインバウンド受け入れ準備をしようとする店舗が少なくなることが予想されるので、補助金の申請が通りやすくなるのではないかと思います。
 
 補助金申請は必要書類も多く手間もかかるので、行政書士や税理士の手を借りた方がいいと思います。
 
 当事務所は補助金申請のノウハウも多くありますので、インバウンド受け入れについて新規設備等を考えている飲食店の皆様はまずはお話しからでも、お気軽にご相談ください。


 
行政書士に無料相談する。
 
 ※お困りごとがございましたらお気軽にお申し付けください。

     
     
    お電話でのご相談も承っております。