代行屋が行うのはほとんどが日常の業務ですので、基本的には資格や行政の許可は必要ありません。
しかし無資格でOKだと思っていた業務が意外なところで資格や行政の許可が必要になるケースがありますので、最低限度の独占業務や許認可が必要なものは覚えておいた方がいいと思います。
と言う訳で、許可や資格が必要なものの例をいくつか挙げていきたいと思います。
※次のケースは全て業として有料で請け負うことを想定しています。
① 引越の手伝い
「荷造りだけ」「トラックに運び込むだけ」でしたら基本的に何の資格もいりませんが、自動車も業者が出すとなると話は別です。
業として輸送をするとなると、一般貨物自動車運送業等の警察署の許可が必要となります。
ちなみに一般貨物自動車運送業の場合は「トラック5台を以上所持すること」等の個人事業でやっていくには厳しい要件がありますので、引越し業者は個人事業でやるにはあまり向かないかもしれません。
② 人の代理で交渉する
「交渉してくるの面倒だなあ、代行屋さん、ちょっと代わりに行ってきてよ」と頼まれる事もあるかもしれませんが、残念ながら交渉事は「法律行為」であり、代理できるのは弁護士に限られます。ですので弁護士でない者が他人の代理人となって交渉することはできません。
一時期退職代行が流行りましたが、退職に関する交渉は法律事務ですので、基本的には弁護士でなければ代理人になる事はできません。
あわせて役所に対する書類の作成や申請も、各士業の独占業務となっています。例えば税務書類の作成代行は税理士の独占業務ですので、頼まれても請け負わないようにしておきましょう。
③ 人の相談に乗る
基本的にただ話を聞くだけでしたら資格はいりません。
ただし、例えば法律に関することや医術に関することについては、弁護士や医者でないと相談に乗れないことになっています。
ですので「話を聞いて欲しい」等の業務が来たら、「私は専門ではないので、ただ話を聞くだけでアドバイスとかはできません。お話をお伺いするだけです」等、何か前置きしておいた方が無難かもしれません。
意外なところに罠があるのは金融や投資に関する相談です。
基本的には相談を受けるだけでしたら資格はいりませんが、相談者に対して直接金融商品の価値についてレクチャーしたり「○○社の株を買った方がいいんじゃないの?」「ドルが下がりそうだし売っておく?」と言ったような具体的な助言を伴う場合は、投資助言業の営業許可が必要となります。
他にも専門性のある分野の相談に乗るのは意外なところでリスクがあるので、注意しておきましょう。
④ 送迎や運転を代行する
代行業としては割とメジャーな部類ですし、結構な数の事業主が事業内容に「送迎代行」と謳っているのですが、誰かの運転を代行する業務は警察署の許可が必要です。
しかも二種免許が必要だったり事業者に欠格事由がある場合は許可が下りなかったりと、意外と要件が厳しいところもあります。
世の中には子供の塾の送迎代行や幼稚園の送迎代行を業務としてやっているところもありますが、実のところ業務に付随するものでない場合は無許可で行うと道路交通法違反に当たる可能性があります。
例えば幼稚園の送り迎えに幼稚園側が幼稚園バスを出すこと自体には許可は必要ありませんが、幼稚園とは無関係の第三者が業として幼稚園児の送迎を行うためには二種免許と許可が必要となります。
警察関連は見つかると厳しいつるし上げが待ってますので、「見つからなきゃ大丈夫だろう」と言ったような安易な気持ちで始めてしまうのはやめておいた方がいいと思います。
⑤ 浮気調査などを代行する
これも警察案件です。誰かを尾行する、個人の過去を調べると言った調査業務は探偵業として警察署に届出が必要となります。
トラブルになりやすい分野でもあり、無届出でやってもバレやすい事業です。
基本的に調査業務は請け負わないか、探偵業の届出をしておくことがいいと思います。
⑥ 害虫駆除を代行する
害虫駆除も結構メジャーな代行業務のひとつですが、特殊な薬品等を使う場合が多いので各地の条例で害虫駆除に対する届出の有無が定められています。
都市部では大体条例で届出が必要になっていますので、念のため役所に確認する等して調べておきましょう。