ゴーストレストランって何?

 飲食店の営業方法は実店舗で客を呼ぶ形式の開業の他にも、様々な形態があります。屋台開業による営業や宅配ピザ店、弁当屋さん等が分かりやすい例でしょうか。

 そんな多種多様な飲食店の営業形態の中で今にわかに注目を浴びているのが、「ゴーストレストラン」と言う営業形態です。

 

1.ゴーストレストランとは?

 ゴーストレストランとは端的に言えば「飲食スペースを持たない宅配専門の飲食店」であり、近年になってニューヨークから輸入された文化です。
 
 「宅配専門店なら昔から宅配ピザや宅配寿司屋があるじゃないか」とも思われますが、宅配ピザ等が来店可能な店舗を持ち店頭での受け取りも可能な形態であるのに対して、ゴーストレストランはオンラインショップやスマホアプリでのみ営業する、実店舗を持たない形態である点が差異になっているところでしょうか。
 
 宅配専門の飲食店は以前であれば飲食店の経営に加えて宅配に関するノウハウや人件費も必要でしたが、UberEats等のフードデリバリー事業者の出現によってゴーストレストランと言う営業形態が可能となってきました。
 
 ※フードデリバリー業者についても簡単に説明しておくと、登録した飲食店の料理を自宅や仕事場に届けてくれるサービスです。飲食店側からすれば、受注・配達・決済を一手に引き受けてくれるので、料理を作っているだけで営業ができると言うメリットがあります。

2.どういう営業形態なの?

 実店舗を持たないと言っても、まるっきり営業スペースが無いと言う訳にはいきません。飲食店ですから必ず厨房が必要になります。
 
 しかしゴーストレストランは厨房とシェフが一人だけいれば開業できる形態ですので、通常の飲食店であればまず選択肢から外れるような場所、例えば路地裏のビルの上層階なんかでも開業することが可能です。
 
 また、宅配専門店ですので配達員が必要となります。
 しかし配達に関してはUberEats等のフードデリバリー業者を利用することで、専門の配達員を雇うことなく食品を迅速に配達することができます。フードデリバリー業者にもよりますが、例えばUberEatsに関して言えば、広告から始まり注文受けから決済まで、ワンストップでやってくれます。
 
 料理を作ることだけに専念したい人にとっては煩わしい接客から解放され他人との接点が配達業者だけとなる、理想的な環境を作ることができると言えるでしょう。
 
 上記の特徴をまとめると、つまるところ「安価で飲食店を開業できる」と言うところに集約されます。通常の飲食店開業に比べると初期費用やランニングコストは随分と抑えられますし、物件の借り方によっては週末だけ店を営業する形態も可能となります。
 
 もちろん通常の飲食店と比べてデメリットや制約も多くあります。
 
 まず、フードデリバリー事業者を利用する必要があるので、彼等の営業範囲内、つまり、現時点では東京近郊や大阪と言った大都市圏でしか開業することはできません。自前で配達員を用意する方法もありますが、そこにコストをかけるくらいなら実店舗を持った方がいいかな…とも思います。
 
 また、広告に関しても、現時点で言えばターゲットは「ネットを使いこなす都心在住の層」となりますので、広告を出すにしてもターゲットに対して気を配る必要があります。
 チラシによるポスティングはそう言った層に対しては逆効果になる可能性も否めません。必然的にオンライン広告が中心となるでしょう。

3.実際に開業するには?

 開業するにあたっては厨房となる場所さえあればいいですが、全ての飲食店開業に言えることですが何の改装もしていない自宅のキッチンでは営業許可が下りません。
 
 「都市部に持ち家があって充分なキッチン改装が可能」なんてレアケースでなければ、基本的にはどこかに厨房となる場所を借りる必要があります。
 
 開業場所としては、「キッチンだけの小スペースを貸し出す物件」なんてものは存在しないかとても希少ですので、基本は通常の飲食店開業に適した物件を探すことになります。
 しかしスケルトンとなると初期設備の導入が必要となりますし、ゴーストレストランの「安価で飲食店を開業できる」と言うメリットがなくなり本末転倒になる可能性もあります。
 
 基本的な狙い目としては居抜き物件であり、「ホールが狭すぎて客席が少なく使いにくい物件」や「路地裏のビルの上層階にある狭くて隠れ家的な物件」辺りが見つかれば理想的です。
 
 他にも、知人がバーを経営しているのであれば、昼間に厨房を間借りして営業する方法もあります。
 シェアキッチンサービスの提供や間借り物件の仲介を行っているよじげんスペース等の業者サイトもありますので、そう言ったところで探してみるのもいいかもしれません。

4.普通の飲食店と比べて儲かる?

 ゴーストレストランの店舗形態の上で言えば、厨房一つシェフ一人の場合はどうしても売り上げに限界はあります。
 また、フードデリバリー業者の動向に大きく依存する面もありますので、フードデリバリー業者がこの先頑張ればゴーストレストラン事業も大きく発展し、逆に縮小方向に向かえば共倒れとなる危険もあります。
 
 店舗の形態やビジネスモデルとしては、小さな厨房にシェフ一人で気ままにやるか、一つの厨房に数人が集まってそれぞれ好きに看板を掲げる方法がありますが、いずれにせよ大きく集客して大きく稼ぐ業態ではないと思います。
 
 しかし実店舗を持たないと言う事はホールスペースの制約によらず客を呼べると言う事でもありますので、トレンドを掴みつつ調理の時間コストに注意を払えばしっかり売上げを手にすることも可能です。
 例えばUberEatsでは昼食にハンバーガーやサンドイッチが人気です。マクドナルド等の大手チェーンがひしめく激戦区でもありますが、個人がやっているヘルシー志向のサンドイッチ店も注文が多いようです。
 
 通常の飲食店開業と比べてコストは小さく稼ぎは大きく!と言う訳にはいきませんが、ローリスクローコストで飲食店が開業できる形態ですので、試しに飲食店を開業してみるにはもってこいの方法ではないかとも思います。
 

5.まとめ

 ゴーストレストランは新しい飲食店の形態です。小さい資金で手に届きやすい範囲から飲食店を開業できますが、最大の懸念点はやはりフードデリバリー業者に大きく依存している点でしょう。
 
 UberEatsは最近メディアに露出することも増えてきましたが、まだまだどうなっていくか分からない状況とも言えます。ひょっとしたらこのまま日本から撤退と言う可能性も充分ありうるわけです。
 
 明るいニュースとしては、出前市場の2018年の市場規模は4048億円、前年比で言えば約6%増と、徐々に認知度が上がり拡大していっている点です。
 
 業界としてはまだまだ黎明期に位置する段階ではありますので、今のうちに参入していけば数年後には一時代を築いている可能性もあります。
 
 一口に飲食店開業と言っても、通常の店舗から今回お話ししたような「ゴーストレストラン」まで、様々な業態があります。飲食店開業に向けて自分の目指すところがどこなのか、どのような形態にしたらいいのか迷うところも多くあるとは思いますので、まずは当事務所にご相談からでも、お気軽にお申し付けください。
 
 
 ゴーストレストランについて更に知りたい方は下記のエントリーもご参考ください。
 
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