インターネット回線に新規オプションを付けたらテレビが見られなくなった話

 私的な話ですが、「実家で契約しているインターネット回線なんだが、パソコンでテレビを見ているとぶつぶつ途切れる。オプションで何とかなるかもしれないので内容を見てもらえないか」と言う問い合わせが両親からあり、先日実家に召喚されてきました。
 
 実のところ実家で契約しているプロバイダは回線速度そのものはそれほど遅くはないのですが、無線機と利用場所であるリビングが離れているため電波が減衰しやすく、また、住宅密集地のためあっちこっちの家でwi-fiが飛んでおり電波を捕まえにくいと言う状態となっています。
 
 そんな状態ですので「オプション付けたところで何とかなるんかいな?」と言う思いもありましたが、聞けば「PPPoE方式からIPoE方式にするよ。強めの無線LANも貸したげるよ」と言うオプションとのことですので、まあ将来のためにもいいかと思い、オプション追加契約を手伝ったわけでした。
 
(PPPoEとIPoEとはなんぞや?と思われる方もいらっしゃると思いますが、簡潔に説明しろと言われるとよくわかりません。なんか分からないけど「ゴールデンタイムでも回線速度が遅くならず動画とかがさくさく見られる」と言う事だけ分かっていれば大丈夫だと思います。適当)
 
 
 
 さて、そんなわけでインターネット経由でオプション契約をし、後日レンタルの対応ルータが届きましたがさあ大変。
 
 実家ではテレビ回線も同じプロバイダで同時に契約しているわけですが、インターネット自体には繋がるのに、何をやってもテレビが映らないと言う事態が発生してしまいました。
 両親はパソコンでのテレビ視聴をメインとしていたので、大変困った状態になってしまったわけです。なまじ回線のクオリティは向上しているっぽいので腹が立つ。
 
 様々な手を尽くし解決の兆しが見えないのでパソコンに繋いでいるテレビチューナーのメーカーに問い合わせたところ、どうやらチューナー自体がIPoE方式には対応しておらず今後現行機も後継機も対応予定はない模様。八方塞がり。
 チューナーの説明書に「IPoE方式非対応です!」って書いておけよとも思いましたが、まあそんな重要なことでもないですし普通困るようなことでもないので、書かれなくても致し方なしではあります。
 
 
 そんなわけで、テレビが見られないのは困るのでオプション契約を解除しなければいけないわけですが、ここで契約上の問題が。
 何度約款を読み返してみても、一旦契約をした以上は2年間使い続けなければ結構な額の違約金を支払わなければいけないわけです。回線契約にありがちなアレです。(ヤダ、払いたくない。)
 
 
 しかし私は行政書士です。契約や法的なことに関してはプロの端くれです。
 行政書士は「あなたの街の法律家」であると東京行政書士会も言っているわけですからね、契約の目的が達成できない以上、カウンターとなる手段はいくらでも思いつきます。
 
 違約金を支払わなくても、契約を解除できる手段があるはずです。いくつか検討していきましょう。(絶対に違約金払いたくないでござる。)
 
 
 
手段1:契約をクーリングオフする。
 
 結論から言えば、そもそもプロバイダ契約はクーリングオフの対象になりません。更に言えば、今回の件については主たる契約ではなく「付随するオプションの契約」なので、尚更ダメです。
 
 
 
手段2:電気通信事業法で定める解除権を行使する
 
 電気通信事業法では業者から契約書を受領した日(若しくは回線が使用できるようになった日)がら8日以内であれば、書面でもって違約金等無しで契約を解除できる旨を定めています。
 しかし、こちらの方法も主たる契約ではなくオプションの契約なので望みの薄い勝負でもありました。
 
 
 
手段3:お客様サポートセンターに電話して泣き落とす
 
 まあ、違約金払わなくていい可能性に賭けるならこれが一番ですよね正直。「あなたの街の法律家」とはいったい。
 
 
 
 結果としては、テレビが映らず契約の目的が達成できない旨、技術的にも解決不可能な旨を説明したところ、違約金なしで手打ちとはなりました(レンタルルータの返送料金及び初月利用料は当然こちら持ちでしたが)。
 向こうも素人相手の客商売ですし、テレビ回線も主契約で提供している以上それが使えない状況であるにも関わらず違約金を請求すると言うのは信義上許されないと言う思いもあったのではないかと思います。約款があるにも関わらず申し訳ねえ、申し訳ねえ。
 
 
 さてまあ、違約金なしでの契約解除となったので目標は達成できましたが、実質泣き落とし作戦なので、若干の敗北感は残るところです。
 今回の件と関係あるようであんまり関係ない話ですが、プロバイダ契約はクーリングオフの対象にはなりませんが電気通信事業法で定める解除権は行使することができるので、その辺りは覚えておけばいいかもしれません。