さむらいと言う者-行政書士がメジャーになるには-

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 法律・会計の士業と聞いて、まず真っ先に思いつくのは弁護士と税理士だと思います。
トラブルや税金は一般家庭で平和な生活を送っていても耳にするものですし、喧嘩と無用の出費はできるだけ避けたいというのが、人間の本音でしょう。
 
 さて、法律・会計士業の末席に加えて頂いているのが我等が行政書士でありまして、一般の皆様からしてみれば聞き慣れない業種であるという自覚はあります。
 
 なにゆえに、行政書士は世間の皆様に浸透しているとは言い難いのか。それはひとえに、お客様の多くが「会社」や「個人事業主」だからではないかと思います。
 
 行政書士の中心となる業務は役所への許認可。普通に生きていれば役所に行くことはあるでしょうが、許可を貰いに行く、なんて事は滅多にありません。(蛇足ですが世間への認知度で言えば、同じく弁理士や社労士もそこまで高いわけではないでしょう。発足は明治32年と言う古い歴史を持ち難関資格と謳われる弁理士ですが、世間一般の知名度は驚くほど低いそうです。)
 
 
 さてさて、行政書士の知名度を上げていくにはどうしたらいいものか。
 
 

 一部行政書士会は「街の法律家」を、一般への認知度を上げていくキャッチコピーとしています。しかしながら行政書士が「街の法律家」を名乗る事自体が少々難しいのではないかと個人的に思っております。司法制度改革以降、真なる法律家たる弁護士の数はうなぎ登りに増えていますし、そもそもトラブルなどに下手に首を突っ込めば、非弁活動にあたり罰則を受けることになるでしょう。

 相続などの分野で活躍できればいいのですが、相続登記ができないのはもちろんのこと、相続コンサルティング業務も他士業や銀行等とパイを食い合う事になっています。(言うまでもないですが、相続専門で稼げている行政書士の先生は、他の職種に負けない知識量と業務遂行能力、そして強力なコネクションを持っております。)

 

 ではどうすればいいのか。

 私が考えるひとつの方法として、主業務が許認可やコンサルティングなら、それらを世間一般なものにしてしまえ、と言うやり方があるように思います。
 
 例えば輸出入ビジネスや運送業、不動産の仲介業などをサラリーマンの副業として一般的なものにする、それに関係して融資や資金調達を行政書士の名前で引き受ける等。誰もが本職の合間に副業したり、週末に事業を経営するとなれば、行政書士の出番も増え、必然的に露出が高まっていくのではないでしょうか。
 
 なかなか大きな話ですし世間の潮流もあるので夢物語ではあるのですが、せめて、小学生や中学生に職業を話すときに、「市役所とかに書類を出してくれるおっちゃんおばちゃん」と認識されるくらいには、一般的に浸透して欲しいところです。